第4話
「青い星」は今、黒い雪がふっているようだ。
建築物は、黒にぬりつぶされていく。
それは腐食性があり、人々はよごれた肉に、火をとおしてたべた。
他には「サンタクロース」という生き物についてのお便りがよくとどいた。
「それはなぁに」私はお姉さまにきいてみた。
「サンタクロースはね、トナカイという生き物にのっているのよ。そして、白い袋を常備していて、野盗生活をしながら、毎晩眠る場所をさがしているの」
彼は赤い服を着た怪人で、雪煙にまぎれて、家のなかに侵入する。
「ドロボーさんなら、武器がいるんじゃないですか?」
「えぇ。以前は電動チェンソーが主流だったけれど、ホラ、博士もよくお偉いさんからいわれていたじゃない? えすでぃーじーずがなんたらとか、省エネがなんたらとかって。チェンソーは、けっこういろんなエネルギーを食うから、もっと低コストで苦痛を与える、ノコギリとかハンマーが主流のようね……でも、サンタも高齢化が危ぶまれているから、なかなか大変みたいよ」
誤作動をおそれられていた私は、武器をもらえなかった。
ただ、夜式の暴走を止める手立てはある。
ラジオの放送中だった。お姉さまは話をつづけた。
「アラアラ……夕さんは、サンタさんにあったことがありますか? ですって」
「ないです……でも、クリスマスの夜に博士が私の枕元に立っていました。全裸に、赤いマント、それから、おおきな白い袋をもって。メリークリスマス、といっていました……。今思えば、あれはサンタクロースのコスプレをしていたのですね」
「マァ……帰ったら、処刑しないといけないわね」
「そういえば……翌朝、箪笥から私の下着がいくつかなくなっていました。あれも、サンタさんをリスペクトし、博士が盗んだのでしょうか」
(ア……それは、私が盗んだやつだ)
急にお姉さまがだまってしまった。
こんな風に、お姉さまは、リスナーからおたよりをうけとっては、なにかコメントをのこした。
恋人や、仕事、学業への悩みがとどいた。
お姉さまは、そのひとつひとつにアドバイスをかえしていた。お姉さまのメモリー媒体に記録された、幾多もの人々の記憶は、悩める彼らへの、みちしるべになった。
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