第7話 ぬくもり
息子「かあちゃん、かあちゃんー」
母「なにー?」
息子「冬ってなんでこんなに寒いのー?」
母「はぁー。何年生きてるのよー。寒いから冬になったの。暑くなると夏になるしー。そんな事より、少しは部屋の片付けでもしたらどうなのよー、まったく」
息子「うちの家って冬、特に寒くないー?」
母「冬なんだから、外だって家の中だって寒くなるのよー。当たり前なこと聞かないでー」
息子「昨日友達の家に行ったら、エアコンと床暖房のダブルの暖かさですごかったよー。春が来たと思ったもん。なのに、うちはこの小さなホットカーペットだけって・・・・・・」
母「あんた、このホットカーペットの破壊力知らないの?」
息子「破壊力って何ー?そんなにすごいのー」
母「これはさー。お父さんがパチンコ屋の景品か何かで持ってきた、本当にひとり乗ればいっぱいの小さいホットカーペットだけど・・・・・・」
息子「うんうん」
母「そのいち、ちゃぶ台の下に置くとこたつに早替わりする!」
息子「えー、そんなんいつもやってることじゃん・・・・・・」
母「まだそのいちでしょ、焦らないのー」
息子「そんで、そのにはー?」
母「小さいから、持ち運びが楽で布団の足元にセットすれば湯たんぽとして使える!」
息子「えー、それも昨日の夜かあちゃんやってたじゃんー」
母「ふふふっ、ここからが、本番よ」
息子「なんだよー、もったいぶるなよー」
母「持ち運びが楽ということは、外にも持っていける訳よ」
息子「そとー?このホットカーペットを持って出掛けるの?」
母「そう!それでこの前、三宅さんのお家にお邪魔した時こっそり持って行って椅子クッションの下に敷いて座ってみたのー。もちろん、近くのコンセントに電源は繋いでね」
息子「何やってるんだよー」
母「もちろん、バレないように気を使うけど、これがまあ暖かいのー。あそこの家も寒いから、いつも呼ばれて行くんだけど、寒くて寒くて、顎もガクガクするのよー。だけど、この前は違ったわ。それはもうハワイにいるかのように暖かい暖かいー」
息子「なんの話してるんだよー」
母「だから、うちのホットカーペットの話でしょうー、それにね。ここからがこのホットカーペットの破壊力の凄さなんだけど・・・・・・」
息子「まだ本題に入って無かったのかよー、そこが知りたかったのにー」
母「このね、ホットカーペット・・・・・・、凄いの・・・・・・、電気代」
息子「はい?」
母「このホットカーペット、電気代が半端ないの・・・・・・」
息子「えー、そうなのー、こんな小さいのにー?」
母「普通のホットカーペットって温度調整が出来るみたいなんだけど、これは常に最大出力で頑張ってるから並の電気代じゃ済まないのよねー」
息子「じゃあ他の暖房器具買ってよー」
母「そしたらこの子はどうなるのー?私からしたら3番目の息子と同じくらいの存在なのよ」
息子「そんなにー」
母「そう、だからこの子で一緒に温まりましょう、ね?ほらー」
息子「なんだかなー」
・・・・・・ドシドシドシドシ。
兄「あー、冷えてきたー。俺にも貸してー」
母・息子「えーー、ムリーーー!」
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