第5話 お風呂

 母「お風呂冷めるから早く入ってきてー」

 息子「えー。今いいところだから嫌だなー」

 母「そんなテレビどうでもいいから、早く入んなさいよ!後が詰まってるのよー」

 息子「先にかあちゃんが入ればいいだろー」

 母「だめよー、あんた最後に風呂場掃除できるの?やらないでしょ。だから私が最後に入るの。分かった?」

 息子「にいちゃんはー?」

 兄「俺も続きが気になるー、お前先早く入れー」

 息子「ずりぃな!たまには、にいちゃん先に入ってよー」

 兄「俺が入ると、お湯が濁るだの、脂が浮くだの言って嫌がるのお前じゃないか。だから一番風呂お前に譲ってやってるのに、今更何言ってるんだ」

 息子「そりゃ嫌だけどさー、今日は先にどうぞって言ってるのー」

 兄「いや、ダメだ。お前が入れよー、ほらどんどん冷めるぞお湯が」

 息子「じゃあ、次のコマーシャルまで待って、そしたら入るからさー」

 兄「次のコマーシャルってさっきコマーシャル終わったばっかりじゃん!?ダメだダメだ」

 息子「じゃあ、公平にジャンケンでどう?恨みっこ無しで」

 兄「あー?ジャンケンだー?やらん!お前が入ればいいだけだろ」


 母「いいかげんにして、だれでも良いから早く入ってよー。本当にお風呂冷めちゃうわよー、まったく」


 兄「かあちゃん、こいつが入らないからだよー」

 息子「ずるいぞ、にいちゃん。ジャンケンにしようよー」

 兄「お前が騒ぐから、さっきのシーン見逃しちゃったじゃんー、本当にさっさと入ってくれよー」

 息子「俺も見てないよー、なんなんだよー」


 5分後


 兄「引っ張るなー、服が破れるだろー」

 息子「うっさい。なんでこんなに重いんだよー、ちきしょうー」

 母「・・・・・・」

 兄「はーん、お前みたいなひよっ子に簡単に動かされてたまるかよー」

 息子「くそデブがー、うーん。重てぇー」

 兄「俺を力で動かそうなんざ100年早いわー、さっさと風呂入ってこいよー」

 息子「ブタがー、うごけー」

 母「・・・・・・」


 5分後


 兄「あははははは、やめてー、わかった、わかったー、あははははは」

 息子「必殺こちょこちょ神拳!うりゃー」

 母「・・・・・・」

 兄「あははははは、ずるいぞー、まってー、あははははは」

 息子「おりゃー、どうだ?風呂入るかー?」

 母「・・・・・・」

 兄「あははははは、くそー。あははははは、絶対入らないー。あははははは」

 息子「入るまでやめないぞー、うりゃー」

 兄「あははははは・・・・・・」

 母「・・・・・・」


 母「・・・・・・、あんた達、いい加減にしなさいよ・・・・・・」


 息子「うりゃー、どうだー」

 兄「あははははは、くそー、ん?かあちゃんが何か言ってるぞ・・・・・・、あははははは」


 バゴンッ!!!

 母「いい加減にしない!!!今すぐ入らないと、夕飯無し!」

 兄・息子「・・・・・・。ええーー」

 母「どうすんだー?入るのか、入らないのかー?あぁあん?」

 兄「はいる、はいるー」

 息子「俺もはいるー、えーでもどっちからー」

 母「うるさい!もう、ふたりで一緒に入ってこい!!」

 兄・息子「ええーー」


 風呂場


 ぽちゃん。


 息子「あったかいねー、にいちゃんー」

 兄「狭いけどな・・・・・・、あったかいなー」

 息子「うちお湯の量が少ないから、ふたりで入ると増えていいねー」

 兄「うん、ほんとうにそうだねー」

 兄・息子「はぁ〜〜」

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