第二章
段々俺の番が近づいてきた。こういう自己紹介だけで笑いを取れる奴はほんと尊敬する。よし、一度落ち着こう。大丈夫だ。台本は全部頭に入ってるし、何回も練習した。いける!俺の番が来た。よし!
「初めまして。斎藤 紡です。趣味は読書とゲーム、運動するのも好きです。
同じ中学の子がいなくて心細いので話しかけてくれれば嬉しいです。一年間よろしくお願いします。」
軽くお辞儀、席に着く、、、決まった!俺の見た限りいやな顔をしている人も馬鹿にしている目もくすくす笑う声もなかっネットで調べて組み合わせた8割嘘の自己紹介。読書もゲームも好きじゃないし、運動は嫌い。でも体育の成績は割とよかったし、読書もゲームも友達のいない、部活にも入っていない俺は毎日していた。バレることはないだろう。心なしかクラスの子達も微笑んでいた気がする。あ〜ほんとに良かった。うまくいったぞ!安堵と達成感で顔が少しほころんだ。
そのあとは教科書や手紙を配られ、クラスの子達とは話す暇もなく下校となった。
1階に降りる階段。忘れ物を取りに帰ったのもあってもう校舎に生徒の姿はほとんど見られない。夕焼けでオレンジ色に染まった校舎はとても綺麗だ。よかった。1日目は成功だ。これでやっと目立たず、おとなしい高校生ライフを送れる。ああ〜ほんとよかった、、、。ほんと、、、
くだらないな俺は。
その時後ろから「あっ」という女の子の声がした。そして俺の横を女の子が転がり落ちた。長い長い階段を。
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