疑問
学園内の敷地内に逃げ込んで10分くらいしただろうか。私は倉庫?みたいなところで休んでいる。さすが名門校。学園の裏側にある小さな倉庫だっていうのに、ほこりひとつない。私はその場で横になった。薄暗くて居心地がいい。さっきまで走り回っていたから疲れた。途中まで誰か追いかけてきていたみたいだけど、上手く巻けたな。人の気配は一切しない。逃げ回ったのは久しぶりだな。昔から気配を消すのと逃げるのは得意だった。そうしないと地元の同年代の奴らに石を投げられる。私はそんな奴だから生まれてからずっと友達はいない。
少し憧れてるんだけどな、友達、、、。
あぁ〜、それにしてもどうしようかなぁ。よくよく考えれば地元に帰るってことはできないんだった。ジーニス階級の高校生はなにがあってもこの学園に通わなければいけない。それが法律。
この世界に自由はない。カゴの中の鳥だな。一生檻の中。
あ、でも昔はそれなりにあったようだ。昔といっても1000年以上前の話だけど。
昔の人たちには能力も階級も存在していなくて、好きな学校に行けたし、すきな会社で働けた。それに伴い試験や検査、大会があったらしいけど自分の努力次第でなんとかなるものが多かった。でも、戦争は絶えず、差別、飢え、孤児、虐待、ハラスメント、殺人、環境破壊などは今では想像もできないぐらい多かったらしい。そんな人間をみかねた神様がすべての国を統一した。今、地球には五人の神様がいそれぞれの神様がそえぞれの地域で人々に能力と階級を与えている。
中学の頃に習ったのはここまで。でも、明らかにおかしい。ずっと昔からある私の疑問。
今まで人間だけで治めていた社会を突然神様が治めた?ありえない。反発する人は大勢いただろうし、戦争だって起きたはずだ。なのにそういったことはひとつも習わなかった。まるで隠しているようだ。私は昔からずっとその隠されたような部分が知りたい。なにかある。この学園に行く決心をしたのはそのためだ。
(逃げ出そうとしてるから決心はできていなかった訳だけども)
この学園は神さまの神殿でもある。神殿と学園が繋がっているってこと。そして今の政治の中心でもある。
政治といっても交易とか外交はしていない。神様が食べる物や綿、木といった原料を与えてくれているし、お金は定期的に配られる。店を出している人はほとんどが趣味でお金をもらわないってところもある。生徒の数が少ないのに学園が馬鹿でかいのはそれが理由ってわけだ。ここは情報が多い。こんな狂った世界に平気な顔して生きている人々、神とはいったいなんなのか。ここなら知ることができる。
それに私が一番知りたいこと、それは、、、
「見つけたぞ。劣等生」
名門校の劣等生 章魚蘭 @yuikoron
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