04.公女さまをお世話するっす
森を出て少し離れた所で公女さまを下ろして、愛用の
そうしたらすぐに脚竜車がやって来て、あっという間に自分と公女さまは男爵家に
あ、多分王都の門は門衛に袖の下渡して開けてもらったんだと思うっす。ていうか番頭さんならそういう対応すると思って、だから番頭さんに連絡したんすけどね。
でも帰り着く寸前で延長してた[強化]が切れて、全身筋肉痛を起こして公女さまを怯え慌てさせたのは失敗だったっすね。必死で大丈夫って言い繕って、でも全然大丈夫じゃなくって、番頭さんが「しゃあねえな」って言いながら自分を肩に担いで脚竜車から下ろして湯場まで連れてってくれたっす。
いや運び方!積荷じゃねぇんすから!いででででで!
目立つ運び方されたもんだからお邸のメイドさんたちが集まってきて、「あらあらまたなの?もうしょうがないわねえ」とか何とか言いながら
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
朝になったら公女さまはもう居なかったっす。帰ってきてたご主人に聞いたら、男爵家で賜ってる小さな領地の領主邸に移したとのこと。まあそりゃそうっすね、王都の男爵家の邸で匿ってて見つかったりしても面倒っすから。
あ、学園では「お義兄さま」っすけど、邸ではご主人っすよ。だってご主人っすから。
まあご主人はご主人で「幼馴染なんだから名前で呼べって言ってるだろ」とか言ってくるっすけど、そこはちゃんと主従の分別として弁えてるっす!自分で自分を止められなくなっても困るっすからね!
夜中のうちに公爵閣下も来られてたそうで、旦那さまと何やら話したあと夜が明ける前にお帰りになったらしいっす。まあもうそこらへんは使用人の出る幕じゃねぇっすね。ていうか湯浴みのあと自分すぐ寝落ちしたから、出る幕もへったくれもなかったっす。
それからは色々忙しかったっす。あの夜のことを知ってる数少ないひとりっすから、公爵家に呼ばれて詳しく話聞かれたり、ご主……お義兄さまと王宮に呼ばれてガチガチに緊張したり、爵位召し上げられて平民に落とされて抜け殻みたいになってるマリアさまの親父さんに
ちなみに公女さま、分かってたことっすけど冤罪だったそうっす。陛下から莫大な慰謝料と謝罪を頂いたそうで、
でも一番大変だったのが公女さまのお世話っす。さすが深窓のご令嬢っつーか、ご自身じゃ着替えも湯浴みもお出来にならないもんだから、全部人任せで。しかもうちの同僚たちも公女さまのお世話なんてやれるはずがねえから自分に押し付けられちゃって、商会じゃなくて男爵家の領都本邸に住み込むハメになったっす。
公女さまは公女さまで「貴女になら安心して任せられるわ。作法がなってないのは教えて差し上げるから気にしなくてもよくってよ」とか言って微笑んでくるし。いやもうあの笑みはズルいっすわ。逆らえねえっすもん。
だけどさすがにずっと居座るおつもりなのが見て取れたから、「公爵家から侍女の方を呼んで下さい」ってお願いしたっすね。その方が絶対にお互い楽だし、さすがに公女さまもホントは色々とご不満があったのか、受け入れてくれてホッとしたっす。
そうしたらそうしたで何人も侍女さんが来ちゃって、何故かうちの使用人も従業員もマナー教わるハメになっちゃって、みんなと「一体なんでこんな事に……」って頭抱えたっす。
もちろん自分も習ったっす。強制っす。拒否権なかったっす。なんか理不尽っす!
まあでもそのおかげか、半年も経てばみんなある程度の作法と教養が身についちゃって、貴族との商談とかでも褒められたりしてスムーズにいくようになったり、なんなら作法を褒められたりしてご主人も旦那さまも「ふむ……これは」とか言って考え込んだりしてたっすね。
まあでもその頃には、さすがに公女さまが何を思ってらっしゃるか分かってきたっすね。自分、そこまで鈍感じゃないんで。ご主人とは違うんす。
ああ、でも、やっぱり
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