02.国外追放
と、ここでぼちぼち満足したのか殿下がふんぞり返って公女様になんか言い始めた。どうやら断罪の仕上げにかかるっぽい。
………………は?国外追放?
いやいや何言っちゃってんの殿下?裁判もせずに、陛下のご裁可もなしに、あんたがそんな事勝手に決められるとでも?いやホントマジで王太子だっつうなら自国の司法制度ぐらい把握しといてよ。俺でさえクレーム訴訟対策で法令関係は全部頭に叩き込んでるっつうのに、あんたどんだけ勉強嫌いなんだよ。そんなんだからあんたの成績
まあ発表される時は
「……おい」
「はい、何です坊っちゃん」
小声にも即座に反応したのは隣に立ってるうちの使用人で幼馴染の同級生。平民なんだけど、
男爵家程度だと使用人の随行が認められないから、将来性に期待ってことで、成人まで実子に準ずる扱いで後見できる
でも今コイツがここにいることは、そんな事よりはるかにでかいメリットになった。
「人を集めて、公女様の後追いかけろ。多分
「護送じゃなくて、
「さすがにそれは公爵家の離反を招くから無いとは思うが、もしそうなったら
「了解」
「くれぐれもバレんなよ。あと公爵家にもご注進入れろ」
「分かりました」
小声でそんなやり取りをしてる間にも、公女様は会場警護の騎士たちに取り囲まれて連れ出されようとしてる。公女様は声を荒げて抵抗しているし、騎士たちもやりたくなさそうではあるが、王太子の命令聞かなきゃ自分たちの身が危ういもんな。
そしてそんな公女様の後ろ姿に、もうこれは
えっいや、お前らも馬鹿なの?それ
いくらこの卒業パーティーが『卒業生、在校生のみ参加できる』集まりだからって、会場には教職員もいるし、運営側の使用人たちだっているんだぞ?バレないわけねえだろうによ。
ていうか、いくら
とまあ、そんな罵声と怒号の中目に涙をいっぱいに溜めた公女様は連れ出され、無情にも会場入り口の大扉は閉ざされた。
「諸君、見苦しいものをお見せしたな!だがもう
爽やかな笑顔で王太子が宣言する。
いやいや、無理強いにも程があるっしょ。
卒業する先輩たちに至っては、人生一度の晴れ舞台を
ていうか、外遊中の陛下がお戻りになったらコイツ廃嫡されんじゃねーの?下手したら処刑まであるかもなー。
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