第9話 卑怯者の魔術

 響く悲鳴。鼓膜が震える。葉は散り、花は色鮮やかからくすんだ色へと落とす。発狂、悲鳴、断末魔。


 正気をガリガリ削る、不快の独唱。食らってんだろうなって分かる、目からたれる血。でもまぁ、死なないから些細なことだ。


 僕は棍棒を振るう。力を込めて叩く。


「イャアアアアアアアアア!!!」

「ダメージなし、か」


 この魔獣は、物理攻撃耐性持ちだったか·····。ふーん、どうするか。魔術を使えば、まぁ、簡単に倒せんだろうけど、楽しさがないよな。


 魔獣の鋭い茎が僕を刺し殺そうと暴れ回る。


 うおっ。·····だんだんと、鬱陶しく感じてきた。楽しさ、善し悪し·····もう、いいか。魔獣に狙いを定めて。


アン


 光線は、魔獣に直撃する。ピカッ、僕の目が光を捉えたとき、自分の放った光線が、僕の体を引き裂いた。


「えっ·····」


 突然の事で、僕は地面に倒れた。は?どう言うことだ?。確かに光線は魔獣に当たった、それは目視した。だが、今僕は自分の放った光線に引き裂かている。は?。意味がわかんねぇ。


 魔獣の方に目をやると。魔獣はダメージを受けているどころか、傷一つなくピンピンしていた。


 はは、面白いじゃん。


 僕は立ち上がり、もう一度。先程よりも魔力を込め、魔獣に狙いをさだめ


アンす」


 ドンッ!。魔獣に向け、放つ。光線は、魔獣の身体に当たり、光線は弾かれた。


「キャアアアアアア!!!」

「そっか、そっか!そういうことか!君の身体は、鏡面みたくなってるって感じか!。そりゃー光の魔術は効かない訳だ!」


 要するに、身体が柔らかすぎて打撃が効いていなかったように見えて、打撃は効いていなかった訳ではなかったのか。面白い、本っ当に未知は面白い!。


 それに、今の攻撃でわかったぞ。弱点、コアの存在があることに。


 魔獣は強ければ、強いほど、身体の何処かにコアがあることを魔獣を倒し、観察を続け発見した。


 魔獣、フゥパラトスがいい例だな。後に倒したフゥパラトスを観察して、アイツにもコアがあった。アイツのコアは、異様に硬質化された腹の3番目の足の付け根にあった。


 あの時の、倒す前の僕は、コアがあるなんて知らず身体に電撃を巡らし倒した。と、思っていたが、運のいいことに電撃か、当たりどころか、コアを壊していた。


 弱点のない魔獣はいない、か。物は言いようだが、事実それは確かだった。どんな強い魔獣でも身体の何処かに弱点デスポイントがある。


「ヒャアアアアアアア!!!」

「君の場合は、花弁の中心か!」


 危機を察してか、魔獣の攻撃が活発化する。同様の表れか?魔獣にも、同様ってのはあるのだろうか。


 転生して、2日目くらいに出会った、擬態蛇。君のそのスキル、使わせてもらう。


 擬態って言うスキルは、周辺の景色に紛れ込む、スキル·····らしい。この、スキルを見た時、何かに役立つんじゃないか?と、思っていたが、まさにここだ。


 でも、擬態じゃダメだ。相手を騙すなら、疑うことすらさせないほどの騙しを。そうだな、本物と見分けがつかない程の完璧な分身みたいな感じだな。


 うん、できる!。


 活発化した魔獣の攻撃が、僕を殺そうと何度も、何度も繰り返される。切り裂かれ、貫かれ、叩き潰され。でも、僕の狙いは揺るがない。


「リューゲの彗星」


 魔法陣から放たれた、青い光線。コアめがけ一直線に放たれる。


 魔獣は即座に、コアを葉で守りリューゲの彗星を弾く。僕の攻撃が終わったと、思った魔獣は、僕を貫こうと尖った茎を僕に向ける。


 後方からギラリと輝くリューゲの彗星。


 魔獣は身を守ろうとする素振りを見せる。だが、リューゲの彗星が高火力かつ気を抜いた一瞬を狙った攻撃。それに魔獣は反応出来ず、ドォンッ!青い光線が、コアを貫く。


「イヤア" ア" ア" ア" ア" ア" ア" !!!」

「上手くいった、大成功だ!」






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第二の人生は異世界で 不可ぁ @zvZzz

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