第7話 確かなるイメージ

 剣蛇ソードスネークを魔術で倒したことを起点とし。僕は戦闘方法を模索している。確かに魔術は強い。だが、近接で戦った方がいい場面もある。


 言うに、適材適所の見極めがまだ僕には定まりきれてないという現状だ。


 弱い魔獣なら近接戦闘で倒すことができるようになってきたが、強い魔獣となると、話は変わってくる。


 いい例は、先程、苦戦を強いられた剣蛇ソードスネークだ。棍棒で叩いただけでは、怯ませることしか叶わなかった、力を込めて叩いても結果は同じであった。


 そこで、ということで。雷を宿した棍棒で剣蛇ソードスネークを叩いた結果、有効だとなり倒すことが出来た。


 だが、いかんせん、魔術の明確なイメージと言うのは、事実、定まっていなのだ。


「水の流れる音が聞こえる。川が近いのか?」


 そのせいなのか、どうなのかは分からないが。魔術単体の威力はイマイチだ。脳内に浮かび上がった呪文を発し、魔法陣は展開され、魔術は放たれる。


 イメージは出来ている。だが、魔獣に向かって放つと見てわかる。怯みはするが、倒れはしない。


「ギャヒヒャ」


 うん。いい所にゴブリン。


 棍棒に雷を宿す。「ギヒャァ!?」、棍棒は叩かれ、全身に電撃が巡り倒れる。


 と、まぁこんなんじだ。魔術を宿した武器は確かなるイメージが形となっているため、その威力が安定している、のか?。うーん、確かなる……。


「ヒャァォゥゥ....」

「ん?。鳥形の魔獣か……」


 確かなる。僕は指先を鳥形の魔獣に合わせる。「アンす」、僕の口は無意識にその言葉を発する。


 ピカ!っと眩い光線が空へと放たれる。数分後、ドンッ!と鈍い音が地面に響く。


 僕がその音のした方へ向かうと、先程まで空にいた魔獣が地面に落ちていた。胴体には焼き焦げた跡と、胴体を貫通した穴。


「なるほど、これが魔術の確かなるイメージかっ!」


 この感覚、このイメージ。僕に足りなかったのはこれだったのか。なるほど、なるほど。


 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


ガルちる魔獣射貫く」


 ドンッ!と雷が魔獣に落ちる。「グォァァァ!!」魔獣はギッ、と僕を睨み、僕に襲いかかる。


 魔獣の鋭い爪が僕を切り裂く。


「グアッァァ!!」、魔獣は間髪入れずに攻撃を続ける。僕は魔獣の攻撃を受け続ける。魔獣の手が大きく振りかぶる。


ヒュドラ魔獣く」


 鋭く尖った氷像が魔獣を貫く。ふう、自分を囮とした戦闘方法。再生する身体だから出来ることであって、普通なら確実に死ぬ戦法だよな、これ。


 種族名:鋼断狼ドウダンロウ:鉱食形:魔獣

 状態:死亡

 スキル

 殺気察知 火系統魔術耐性 暗消音


「·····油断、できないな」



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