第3話 プライベートスペース奪還戦

 転生してから2日経った。


 なんか来た。


 何だ、あいつら。緑の皮膚、般若のような凶悪な顔、頭部からは短めの角が生え、身につけているのは毛皮と棍棒。


 そう、奴らはまさしくゴブリンの見た目。


 分からないときはとりあえず鑑定に限る、そうだなあ。あの魔法陣の真ん中で小躍りしてる奴を鑑定しよう。


 種族名:ゴブリン:魔獣

 スキル

 棍棒術 穴掘り


 ゴブリンだ、ゴブリンだった。ん?足音が近づいてきている。それも複数。


「ゲヘナ《おなかすいた》」

「アギョヘ《もうすぐだ》」

「ゲギョ《あんぜん》!」


 会話か?会話をしているのか?言語理解のおかげか何を言ってるのかは分かるが、噛み合ってないコミニュケーションだな。


 声が近づいてくる。よし、こい。そしたら姿が分かる。


 ザッザッ。


 よしよし。


 ザッザッザッ。


 あと1メートル。


 ザッザッ·····ピタ。


 これは····ゴブリンだあの小躍りゴブリンの仲間と見ていいのか?。


「ギャルガ《ちがった》!」

「ゴルギャ《あっちだ》!」

「ハガハフ《ちがう》!」


 揉めているのか?。相談しているようにも聞こるが·····だがまぁ、ゴブリンに転生はなしだな。


 とりあえず視認できた2匹のゴブリンのステータスを確認しよう。


 種族名:ゴブリン:魔獣

 スキル

 棍棒術 穴掘り


 種族名:ゴブリン:魔獣

 スキル

 剣術 毒耐性


 ほほう。同じ種族でも、微妙に違いがあるのか。まあ、そうだよな。武器が違えば得意なことだって違うだろうし。


 それにしても揉めてるなあ。おや?もう1匹やってきた、こちらも鑑定だ。


 種族名:小鬼ホブ:魔獣

 スキル

 剣術 生存本能 解体 指揮


 おや?種族名が違う、詳細を見せてくれ。


 小鬼ホブ:ゴブリンの上位種。熟練冒険者並みの実力を持つ。


 ということはこのゴブリンの中で一番偉いリーダーということか。なるほど、種族進化というのもあるということか。


 確かに他のゴブリンに比べて強そうだ。


 小鬼ホブの顔は怒りに染っている。言い合ってるのに憤っているのか、道に迷っているのに憤っているのか。どっちなんだろう。


 怒り状態の小鬼ホブは、死角にいたもう一匹に棍棒をなげつけた。おいおい、仲間にあたるなよ。


 奴らが立ち去る気配が微塵もない。ずっと揉め合ってやがる。どうするか。


 殺るか。


 ここは僕の大切なプライベートスペースだ、長居されては困るというもの。突発クエスト、プライベートスペース奪還戦の幕開けだ。


 まず最初の標的は、剣術ゴブリンだ。


 僕は、剣術ゴブリンに狙いを定め近づく。4メートル、3メートル·····1メートル、僕の手は剣術ゴブリンの体に触れ


 放電爆破!!。1匹撃破だ。


 事態が呑み込めないのか、残ったやつらは慌て無造作に棍棒を振り回す。そこに、僕の放電爆破が炸裂だ。


 技名は、僕が考えました。


 戦闘の常套手段として、強い奴を先に叩く。狙ったのは小鬼ホブの方だ。


 不意打ちを食らわせたので、小鬼ホブは避けることも出来ずに僕の放電爆破を食らっていた。


 突然現れた僕を見て、唖然と見つめている。


 ズル


 そのまま、地面に倒れる。あと2匹だ。


 驚いたことに、初めての人?殺しに、全く不快感を覚えなかった。これもスキルのおかげだろうか。地面に広がる血溜まりも気持ち悪くない。


 これが、適応と言うやつなのだろうか。


 きっとこの先、魔獣だけじゃなく人も殺すことになるだろう。その時は·····


 僕は背を向けて走り出そうとしていたもう1匹を背中から襲い、一撃で葬った。


 あと1匹はビビって腰を抜かしている


 種族名:ゴブリン:魔獣

 スキル

 剣術 団結


 葬るのは簡単だった。


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