第2話 僕の生まれた地点

 さて、まずは周辺の状況を確認するか。


 まず、僕がいるのは、古びた遺跡のような場所だ。根拠なんかなくただ雰囲気がそんな感じを醸し出しているから。


 僕は、その中心に描かれた魔法陣に、五体投地で寝そべっている。これはあれか?儀式的な何かで呼ばれた的な?。


「人の気配はしない」


 確認できるのは、茂みと低木だけの平原が続いている。あと、意識を集中すれば、遠くに何かが動いている気がする。動物だろうか。


 高所から見たいな。


 そうだ、魔術を駆使しすれば高所から見渡せるんじゃないか?。


「決まり文句、魔術はイメージ!」


 集中だ。イメージ。


 電流で筋肉を刺激し、血管の一筋一筋まで空気を巡らせる。

 力を足だけに全集中!。


 すると僕の足は震え、爆発的に地面を蹴りあげ80メートルくらい、空に飛ぶ。


「おおお!出来た!」


 瞬間的だが、今はこれで十分だ。魔術はイメージってことが確定したからな。


 空から見下ろしてみた。やはり、遺跡みたいに見える。元は煉瓦のように茶色いブロックで組まれていたのだろう。だが、長年雨風にさらされてきたせいか、色は黒ずみ、所々を苔が覆っている。


 大きさは、そうだな20メートルくらいだろうか?。


 うーん。それにこの魔法陣かなり古そうだ、これだけ古そうだってことは、相当長い間放置されていたのだろうか。


 転生と言っても、転生元に魔法陣があるということはこの魔法陣を書いた人、この魔法陣を使って僕の魂に干渉した人がいるはずだ。


 王道な展開だと、大体そういうのは神だったり女神様だったり·····。まあ、気が狂った魔術師とかじゃなければいいが。


 周辺を観察をしながらいろいろ考えていたら、僕は落ちた。


「くらやみだ!」


 はたから見たら僕は地面に突き刺さってる感じなのだろう。


 体を見てみるが、傷一つない、どうやら無事のようだ。骨が折れてる感じも、痛みもない。あれだけの高さから落ちて無事とは、自分のことながらさすがに引く。


「5分は浮いてない、多分3分くらいか」


 僕は起き上がる。整理をするために、魔法陣に戻った。大の字に横たわってみると、妙に落ち着く。


 下手に動き回るのは危険だ。どんなスキルがあろうと、魔術があろうと自分が強いとは思ってはいけない。


 謙虚を貫き、いついかなる時も自信を過小評価し続けなければ、慢心ダメ絶対。それが僕だ。


 暫くは魔法陣周辺から出るのは避けて、平原を観察して過ごすとしよう。


 平原を見ていると、色々な生物の姿がある。サバンナの様に哺乳瓶ばかりかと思っていたが、どうやらそうでは無いらしい。

 どこからどう見ても昆虫だったり、不定形だったりするやつらもいた。しかもその大きさはまともじゃない。


 例えば、最初に見つけた蟻っぽい姿の影は、大型犬のくらいの大きさがあった。


 これも隠匿スキルのおかげか。襲われないのはいいことだ。


「ここは異世界、確定事項だ」


 もっと遠くの方を見ると、より大きな獣の影もあった。10メートル近いだろう。多分だが、テニスコートくらい。


「いわゆる、魔獣ってやつか?」


 それらを見ていて、1つ気になることがあった。


「あんなデカい魔獣がいて、人間がここにたどり着くこととか、あるのか?」


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