第六十三・五話 新たな生活
新しい北海道での暮らしが始まった
でも、私たちはどこに行っても同じで
愛を囁きあい、抱き合って過ごしていた
私の新しい職場は内科の診療所
アパートからは自転車で十五分ほどの場所
受付事務担当者は私を含めて三人で受付二人・会計一人のローテーション
私が採用されるまでは受付一人・会計一人で対応していたそうだけど
患者さんの増加で受付が対応しきれなくて、増員を募集していてうまくそこに当てはまったよう
一緒に仕事するのは二人とも三十歳台の既婚者さんで
「おはようございます、若狭さん郡家さん」
「おはよう小澤さん」
「おはよう小澤さん」
「今日も元気ね!やっぱり彼氏から毎日愛情いっぱい貰ってるから違うのかな?」
「もおぉ・・・そんなこと・・・あるか・・・な・・・?」
「きゃあぁ~~~~~!」
「のろけ!」
「うらやましいぞぉ~!」
「えへへへへへへへへ・・・」
私は照れてしまった
「でも大変ね?」
「そうそう!彼氏のお父さん?からのDVで逃げてここまで来たんでしょ?」
「頼れる人がいないとどうしてもお互いだけだもんね」
「のろけが言えるほど仲良くないとね!」
「でも、やっぱり、うらやましいぞぉ!」
「えへへへ・・・」
「でもね・・・だからこそ、前に言った『私の名前を言って掛かって来た電話は切って』っていうのが大事になるんだよね・・・」
「だから、二人ともお願いね!!」
「なぁ~んも、なぁ~~んも!」
「任せて!」
それを聞いて私は安心した
そして、私はこの職場でずっと働いていこうと
この場所でずっと周平と生きていこうと
そう決めている
僕は市内の総合病院の常駐設備管理スタッフとして働き始めた
アパートから車で20分ほど
常駐管理会社の契約社員として現場常駐スタッフとなった
仕事内容は
病院の空調熱源の吸収式冷凍機・ボイラー・温水熱交・冷凍機用の冷却塔
給湯ストレージ
各種空調機の運転管理
受変電設備の点検
建築付帯設備の応急対応など
勤務はシフト制で日勤と当直の24時間勤務もある
当直勤務の日はサチに会えないけど
翌日の明けとその翌日の公休が完全にフリーになるのでサチの休みと調整して、イチャイチャする時間がいっぱい確保できている
それに平日休みはいろんなところが空いていて慣れるとかえって生活がしやすい
そしてイチャイチャもしやすい
アパートとは気分を変えてラブホの利用なんかも『平日ノータイム』が利用出来てお得だったりなんかして・・・
そのうちそこに朱音も加わって三人での楽しい失踪生活が出来ることを期待してしまう
業界の給与水準は決して高くないけど
贅沢しなければ十分生活できるので
僕はこの職場でずっとやっていこうと
サチと一緒に生きていこうと
そう決めている
~~~~~~~~~
第三章の完結です
次回から
第四章(最終章)の開始
「序曲」です
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