第四章 崩壊
第六十四話 序曲
周平と早千江が北海道に身を隠した年の十月
ある日二人の父親は家を出て行った娘の自室に来ていた
二人の母親・・・つまり父親の妻はなんでも言いなりのつまらない女だった
そんな女でも抱いたことで二人の子供を授かった
しかし、妻と子供二人を育てるにはお金がかかる
その上、住む場所も俺が与えなくてはならない
そのために俺は長年勤めた給料の安い鉄道会社を退職し、自立して医療事務の自営業を始めたがなかなか軌道に乗らず、負担感だけが増していった
俺にとってその二人の子供は人生の重荷にしかならなかった
それでも娘は大きくなるに従い美しく成長した
その姿を見るにつけ下半身の疼きを感じて居たが、実の娘相手にそれはまずいので我慢していた
しかし息子はつまらない
つまらない女から生まれたつまらない息子
手を出せない美しく成長していく娘
俺はそんなストレスから息子が小学生低学年ころに勤め先の病院の勤務医の若い女医に手を出した
実にいい女で俺はその魅力にどっぷりはまり込み肉体関係をもった
仕事にかこつけてその女のところに入り浸り、避妊もしないでヤリまくった
稼ぎの大半もその女のために使っていた
つまらない女のままの妻は、そんな俺の稼ぎでは食っていけなくなり
若い女に入り浸る俺と同じくらい家を空けて働いて住宅ローンを払っていた
次第に俺たち夫婦は、人生の重荷にしかならなくなっていた子供を育てることを放棄していった
一方で、俺はそんな肉体関係を若い女医と持ち続けたため当然妊娠させた
そして俺はそれを中絶させたりせず産ませた
男子だった
俺にとってはちゃんと愛して関係した女が生んだ『愛する息子』だった
俺はますます妻の生んだ息子を邪魔に思ってしまった
そう思って気に入らないことがあると当たり散らしていると娘がその味方をするようになった
なんだこれは
俺の人生の重荷のくせに育ててやっただけでも感謝しろよ
それを逆らいやがって
気に入らない
面白くない
そう思っていると美しく成長した娘は、邪魔な息子の支援で短大を卒業し
二人とも出て行ってしまった
後にはつまらない中年女の妻だけが残った
従順なだけで美しくもなく夜の生活はない
浮気相手の若い女医との関係だけが人生の潤いだった
そんなある日娘の自室に入ってみると若い雌のにおいがかすかに残っている
どうしても抑えられない衝動にかられ俺はそれを満たせる『何か』を無性に探したくなり主がいなくなった部屋をひっかきまわしていた
何もない
つまらないなと思いながら何気なく勉強机の引き出しを開けていくと
その一つの中に大量の女性雑誌が入っているのを見つけた
若い女の画像が載っているそれから衝動を満足させてくれる『何か』がないかとぺらぺらめくってみる
当然何もない
諦めて雑誌を引き出しに戻そうと持ち上げると写真が二枚ぱらりと落ちた
俺はそのうちの一枚の画像に目が釘付けになる
そこには衝動を満足させる『何か』が写っていた
裸の息子が裸の胸が見えてる娘を背中から抱いている仲良さげな光景
俺の下半身がうずく
「なんだよこれ」
「あいつら異様に仲がいいと思ってたら・・・」
「こんな関係になってやがる」
「俺もヤレるんじゃないか・・・」
居てもたってもいられなくなり俺はあいつらが暮らしている△△県□□市の住所に向かう
アパートはすぐに見つかった
娘だけの時を狙って押し入ってヤルことだけ考えて部屋に向かう
インターホンを押してみるが反応がない
何度も押してみても何も反応がないのでドアをドンドンと叩いてみる
激しい物音に気付いて隣の住人の中年女が顔を出す
「お隣さんなら引っ越されましたよ?」
「えっ?」
「引っ越した?」
「どこに?」
「そんなの知りませんよ」
「あのご夫婦のご家族の方?」
「ええ・・・」
「もう・・・毎晩毎晩激しいったらありゃしない!今度会ったら近所迷惑も考えろって注意しといてよね」
それだけ言うと中年女は部屋に引っ込んだ
夫婦・・・
あいつら『姉弟』のくせに『夫婦』・・・
その上毎晩毎晩激しい近所迷惑って
今は早千江も22歳か・・・
ヤルことを想像するだけで下半身が強烈に疼く
そのためにも見つけ出さないと
その後あいつらの勤め先にも連絡したがちょっと前に退職したと言ってやがる
携帯に電話してみても繋がらない
ここでこうしていてもなにも判らないから家に帰ることにする
娘の部屋に残された荷物に何かヒントがないか
もう一度徹底的に調べてやる
俺の頭の中は22歳の実の娘をこの手でヤルことで一杯になっていた
~~~~~~~~~
次回は「毒牙」です
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