エピローグ
エピローグ
それからずっと後
何年か・・・何十年か・・・
あるところに住む双子の姉妹が、ある日突然自分たちの身体に、生まれた時からあるアザが疼くのに気がついた
姉は左腕、妹は右腕
互いの腕のアザがズキズキと疼く
それは今年入学し、今日から通い始める高校の入学式に向かう電車の中だった
二人にはこの突然襲ってきたアザの疼きが全く心当たりがなかった
生まれた時からあるアザで医者が言うには全く健康に影響はないものだと言っていた
でもそれが疼く・・・なぜだろう
そんな不思議なことが起きている姉妹の目の前に立つまっさらな同じ高校の制服を着た男子生徒に二人の目が釘付けになる
背中越しに見えるその横顔が苦痛に歪み、右首筋に見えるアザをさすっていた
その横顔を見た姉妹は彼に一目ぼれしてしまった
そんな背後からの熱い視線に気づいた男子生徒はゆっくりと振り返り
二人を見る
彼の目が大きく見開かれ、そして徐々にその目線が柔らかくなり
二人の制服の手首からちらりと見えるアザに視線が吸い寄せられる
彼の視線がそれを外れるころにはその目は愛おしいものを見つめるそれに変わっていた
彼もまた、この姉妹に一目ぼれしたようだ
三人は自然と近づき自己紹介を行う
最初に姉が
「私は四浦早千江っていうの」
次に妹が
「私は早千江の妹で朱音っていうの」
二人が声をそろえて聞く
「あなたの名前は?」
男子生徒は照れ臭そうにしながら
「僕の名前は大澤周平って言うんだ・・・」
自己紹介が済むと三人のアザの疼きが嘘みたいに治っていた
なぜか三人の目に涙が浮かび・・・そしてとめどなく流れ始める
三人は声をそろえて言う
「あれ・・・おかしいな・・・なぜだろう・・・懐かしい感じが心を満たしていく・・・」
「ずっと会いたかった・・・」
「会いたかったよ・・・」
「やっと・・・やっと会えたね」
不思議な感覚が三人の心を包み込み、満たしていった・・・
三人が声をそろえて呟いた
「もう離さない・・・もう誰にも邪魔させない・・・」
弟だけど毎日告白してたら姉が蕩けてしまった 重雷装艦「北上」 @lohengrammeb
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