第六十九話 悲劇から崩壊へ
全裸の三浦朱音が踏切で列車に飛び込んだ
悲鳴とけたたましい警笛
緊急ブレーキのすさまじい轟音
くそっ・・・油断した
完全に堕ちた、そう思って油断した
妻は・・・あの役立たずの言いなり中年女は能天気にシャワーを浴びている
廊下では俺の所業のほんの一部で驚いた若い男女により警察への通報が行われている
俺は急いで服を着てあの女のスマホと自分のスマホ、あの女の口座から引き落とした現金30万円をショルダーバッグに詰めて裏の窓から外に出る
屋根伝いに飛び降り最寄りの新幹線駅に向かう
すぐに飛び乗れば警察の手が回るより早く早千江の居る場所にたどり着くだろう
例の『クスリ』もまだ早千江を堕とすのに使える量がある
あの女を60時間くらいヤリ続けたのにも関わらず実の娘をヤル想像だけでまた下半身が疼く
そうだ、周平の目の前で堕としてやったらどんな顔をするだろう
それを想像すると早くヤリたくなる
あの女のように絶叫を上げながら自分から快楽に溺れるようにしてやる
下半身がズキズキ疼く
そんなことを考えながら新幹線に飛び乗り北海道へと向かった
飛び乗ってすぐの列車内から早千江の勤め先の診療所に電話してみる
「はい、もしもし○○診療所です、どうされましたか?」
「あの~すみません小澤早千江さんの友達なんですが・・・」
「はい?小澤早千江はうちの・・・」
「えっ?・・・小澤さんから聞いてる・・・あっ・・・ガチャン・・・ツ―ツ―ツ―」
俺はニヤリと笑う
ここにいるのかあいつは・・・
あの俺に堕ちた女は自分から全部の情報が漏れたとも知らずに・・・
フハハハハハ・・・
待ってろよ早千江、俺がヤッてやる
線路脇のアパートに警察官が訪れて来て玄関のチャイムを鳴らす
「小澤さん、警察のものですが?」
「小澤さん、いらしゃいませんか?」
「小澤さん、警察のものですがお話を伺えませんか?」
シャワーを浴び終わったばかりの私はまだ身体の水滴を拭いているところだった
とりあえず返事をして待ってもらうように言う
外がムチャクチャ騒がしい
救急車やパトカーのサイレンが鳴り響いている
人々のざわめきも聞こえる
あの暴力主人が何かもめごとでも起こしたのか
それとも主人が堕ちさせた女が要らない騒ぎを起こしたのか
そう言えば主人の姿がないし、あの女もいない
私はいったいどうしたのかと思いながらようやく服を着終わる
カギを開けると警察官が何人か立っていた
私は女性警察官から聞かれる
「あなた小澤美江さんですね?」
「そうですが?」
「三日前から行方が判らなくなり捜索願の出されていた三浦朱音さんに対する誘拐の容疑があなたとご主人にかけられていますのでご同行いただけないでしょうか?」
どうして・・・どうやって私が特定されたの・・・?
「どうして私なんですか?」
「三日前に三浦朱音さんのご自宅の付近であなた方ご夫妻が目撃されてまして・・・」
「我々もずっと探してたんですよ・・・」
「あなた方のことを」
「そうしたら、踏切での犠牲者が三浦朱音さんで・・・」
「しかもご近所さんが異様なご主人と三浦朱音さんのことを目撃されていましてね」
「これは何か貴重なお話が聞けるのではと思って急いで来ました」
「ご同行いただけないでしょうか?」
私たちは目撃されていたのか・・・
何もかも警察に知られている?
そう考えると力が抜け立って居られなくなった
女性警察官に支えられて私はパトカーに向かった
その後の任意の取り調べで小澤美江は驚くほどスラスラと犯行の内容を自供した
最初の目撃者の証言
アパートの住人や目撃者からの証言
アパートに残された大量の体液
遺体の身元確認のため訪れ・・・対面した、三浦朱音さんのご両親の絶望に満ちた絶叫と嗚咽
そして踏切に飛び込んだ三浦朱音さんの遺体の司法解剖の結果
それらの内容を突き付けたことにより観念したのか・・・
スムーズに自供が行われた
しかしその内容は酷かった
小澤嘉一郎により二日半にわたり暴虐の限りが尽くされていた
小澤美江はそれを咎めることなく自発的に協力していた
薬物と自動車を利用した誘拐
誘拐直後から行われた違法薬物の注射器による投与
薬物中毒による意識混濁状態での性交
その後薬物中毒による意識混濁から覚醒してからも継続された不同意性交
もちろん避妊具など用いられることもなく欲望の赴くままにそれらが行われた
それらがただただ人格を壊すために繰り返されたことが明らかとなる
取り調べに立ち会った警察官がその内容を聞くたび激怒し溢れる涙をぬぐう
女性警察官の中にはあまりの非道さに取り乱し取り調べが継続できなくなる者まで出た
警察官の誰もが決して許せないという思いで供述調書が取られた
また、その上、同様の誘拐・監禁・不同意性交が実の娘である小澤早千江に対して計画されていることが自供され
現在行方の判らない小澤嘉一郎がその計画を実行しようとしている危険性が極めて高いと判断された
そして本件主犯であり、ほかの犯罪計画が進行中と結論付けられた小澤嘉一郎の逮捕状が請求され
即座に発行、全国に指名手配された
また小澤美江の自供から小澤嘉一郎が北海道に向かったと予測されるため特に北海道の空港と玄関駅に北海道警による緊急配備が発動された
しかしそれは事件発覚から24時間以上がたっていた
俺は北海道の空港最寄り駅の近くのビジネスホテルに宿泊していた
翌朝の始発の特急で道東に向かう予定だ
テレビのニュースはある地方主要都市の踏切で起きた猟奇的な自殺の報道でもちきりだった
報道ではあまり詳しく紹介されていないがネットメディアでは自殺したのが女で全裸だったと大騒ぎになっている
そして翌朝一番の列車で道東へ向かった
~~~~~~~~~
次回は「夢が流れる」です
ラストスパート12:15公開予定です
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