第六十話 友人の愛
ようやく落ち着いた二人が僕から離れた
二人は乱れた下着を直し
衣服を着なおした
僕はその間、気を失った状態で彼らの準備したガムテープで縛り上げている三人組からスマホを一台取り出す
そいつの指で認証を解除するとこいつらの女友達・・・居酒屋で親しげに話していた時にちらりと聞こえた名前から多分これだと思う電話番号にSMSで助けてくれとだけ送信する
このクズども三人は下半身を露出したままで縛り上げている
もしかするとこいつらのうち何人か・・・ひょっとすると全員・・・不能になってるかもしれない
何しろ居酒屋潜入のため工員感をより一層高める目的で
作業着作業帽以外に安全靴も履いてきた
先端部分に鉄芯の入った安全靴を
中々居場所を特定できず焦っていたのも手伝って
加減せずに三人とも股間を蹴り上げて悶絶させて制圧した
当たりどころが悪ければ潰れてるかもしれない
ちょっと過剰かな・・・とも思ったが・・・申し訳なさや同情の念は全くわきあがらない
何なら今からもう一度先端部分で三人とも蹴り上げてやろうかとか、旋盤の切粉が突き刺さったままのかかとで思いっきり踏んでやろうかとも思うがやめておく
さて、サチと朱音の準備が整ったので公園を離れよう
まず、朱音を家に送り届けてから帰宅しよう
近くの通りに出ると通りかかったタクシーを拾い
三人で乗り込む
朱音に家の住所を告げてもらいタクシーを出発させてもらう
タクシーの車内は右からサチ、僕、朱音の順に座っている
両側から二人がもたれかかり腕に絡みついてくる
二人の吐く吐息が熱を帯びているように感じる
サチは既に婚約者だから別にこの状況で高ぶっていても不思議ではないが
朱音まで高ぶっているように感じる
ふと気づくとサチがこっちをじっと見つめている
「どうしたの?」
するとサチは耳元に顔を近づけ
「朱音にキスしてあげて・・・お願い」
「えっ?」
「朱音だから構わない・・・お願い」
僕が動きやすいようにサチが少し離れる
左腕にしがみついて熱い吐息を吐いている朱音の顎に右手を掛けると上を向かせる
朱音は少し驚いたように僕を見て、次いでサチを見る、それから蕩けた表情に戻り目を閉じた
朱音の唇が少し震えている
そんな唇に僕の唇を軽く接触させすぐに離す
それを何度か繰り返すと朱音の腕が僕の首に巻きつく
そのまま次の軽い接触の瞬間、首に巻き付けた腕をほどき僕の頬を両側から挟み込むようにすると
強く唇を押し付けてきた
そして押し付けたまま熱い吐息を漏らす
その吐息とともに朱音の舌が僕の口をこじ開けてくる
そのまま口内に侵入を果たした朱音の舌は縦横無尽に僕の口内を蹂躙し
僕の舌に絡みついてくる
気がつくと右腕にはサチがしがみつき熱い吐息を吐いている
僕の唇と口内を蹂躙している朱音はまだ熱い吐息を吐きながら蹂躙を止めない
その真っ最中にタクシーが停車し、朱音の目的地に着いたことを運転手が告げてきた
その声でようやく我を取り戻した朱音が僕の唇から離れ慌ててタクシーから飛び降りた
そして元気いっぱいに
「早千江!周平くん!!またね!!!」
と告げて家に入っていった
~~~~~~~~~
次回は「脱出の準備」です
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