第五十八話 闇の中
私は朦朧とした意識の中
一緒に行った女子の肩につかまって歩いていた
どのくらい歩いたか判らない
もう全然歩けない
そうだ・・・周平に電話しなきゃ・・・
スマホ・・・スマホ・・・
そうしてつかまって歩く以外のことをしようとすると
道路にひっくり返ってしまった
それを引き起こしてもらいもう一度歩き始めるが
スマホを取ろうとしてまたひっくり返る
したたかに膝をぶつけて無茶苦茶痛い
そしてまた立ち上がりまたひっくり返る
何度か繰り返してとうとう歩けなくなったので連れてくれている女子学生に
「もうダメ・・・歩けない・・・」
という
近くでそれを聞いていた朱音の
「私もダメ・・・もう歩けない・・・」
という声が聞こえてきた
「あはははははっ」
「朱音酔っぱらいすぎ~」
「早千江も酔っぱらいじゃん」
「あははははははははっ」
なんて馬鹿なことを言い合う
それをまた引っ張り起こされて
なにかベンチのようなものに座らせてもらえる
そこでようやく黒い人影三人が私たちを介抱してくれていることに気づき
「ありがとうねぇ~」
「え~っと・・・名前なんだっけ・・・」
「忘れちゃったね・・・」
朱音の能天気な声が聞こえる
「ごめんねぇ・・・忘れちゃったよ・・・」
それを聞いて三人の黒い影が『クスクス』と笑う
そこで私たちは初めて違和感に気づく
笑い声が女子じゃない・・・
と、その瞬間すぐさま羽交い絞めにされ
テープで口をふさがれ
腕が後ろ手にテープで縛られる
あっという間だった
何も抵抗できなくなる
そうしてすぐに服が脱がされていく
「ううぅ~~~~~~~~~~~~~~うう~~~~~~」
「はふへへ!!!!」
私たち二人のくぐもった声が響く
まただ・・・
また始まった
男たちの欲望がそのままぶつけられてくる
また涙があふれて零れ落ちる
もうこんなの金輪際嫌だ
嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ
涙が流れ続ける
ベンチの上でうつ伏せにされるとショーツが脱がされた
「ううぅ~~~~~~~~~~~~~~うう~~~~~~」
泣きながら嗚咽が漏れる
悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい、悔しい
「こっちの早千江ちゃんもいい身体してるぜ」
「おいさっさとやってしまえよ」
「あとがつかえてるんだぜ」
男たちの手が自分のベルトを外しズボンを下げる音がした
気持ち悪い、気持ち悪い、気持ち悪い、気持ち悪い、気持ち悪い、気持ち悪い、気持ち悪い、気持ち悪い
助けて周平・・・
私はすぐそばの早千江が声にならない悲鳴を上げるのを聞いた
私も同じ悲鳴を上げた
でも声にならない
三人の黒い影はなぜか男だった
女子じゃなかった
なぜ?
いったいどこから?
護衛の周平くんは?
いろいろな考えが頭を駆け巡る中
私の身体から自由が奪われていく
口がテープで塞がれ
腕は後ろ手にやはりテープで縛り上げられる
ああ・・・これが早千江の言っていたレイプなんだ
なんて理不尽な暴力なんだろう
こんな目になんども早千江は会わされかけたんだ
私の服が脱がされていく
体をよじって抵抗しても無駄だった
ブラが外されて胸が露わになる
誰にも見せたことないのに・・・
周平くんにだけ見せるつもりだったのに・・・
テープの貼られている口から嗚咽が漏れる
たまらなく嫌だ
そんな私の裸の胸を理不尽な男の手が痛いほどの力で揉んでくる
「ううぅ~~~~~~~~~~~~~~うう~~~~~~」
くぐもった声しか出せない
涙がとめどなく溢れて零れ落ちる
いやだ、いやだ、いやだ、いやだ、いやだ、いやだ、いやだ、いやだ
「いい身体してるな朱音ちゃん?」
聞いたことある声
「こっちの早千江ちゃんもいい身体してるぜ」
「おいさっさとやってしまえよ」
「あとがつかえてるんだぜ」
どの声も聞き覚えがある
今日の歓迎会を開いたサークルの先輩・・・
名前は覚える気はないが顔は思い出せる
おとなしそうな雰囲気の先輩だった
あんなおとなしそうな顔してこんなことするんだ・・・
最低・・・
早千江の方に行ってるもう一人がこっちに来る
ベンチの上でうつ伏せにされると私のショーツに手を掛けて脱がせる
男たちの手が自分のベルトを外しズボンを下げる音がした
「ううぅ~~~~~~~~~~~~~~うう~~~~~~」
とめどなく涙があふれる
こんなことで・・・こんなことで守ってきたものが奪われるなんて悔しい
~~~~~~~~~
次回は「闇からの救出」です
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