第五十七話 歓迎会の闇
そして歓迎会当日
サチと朱音が参加する歓迎会が行われる焼き鳥が売りの居酒屋に僕は一人で来ていた
ちょっと汚れた作業着に作業帽をかぶって結構疲れた雰囲気を出してるので店員さんに未成年だと気づかれていない
カウンター席に座るとカルピスハイに焼き鳥何本かと軟骨から揚げにフライドポテトを注文する
そしたらすぐにサチたちが店内に入ってきた
集団の後ろの方でしょうがなく来た感たっぷりの二人が居る
一瞬目が合う・・・
二人とも目で『なんかあったらお願い』て言ってる
僕は二人にだけわかる程度に目でうなづく
集団は店内奥のテーブル席につくと大騒ぎを始めた
手元のスマホでネット小説を読みながらカルピスハイをチビチビ飲んでるとLimeが入る
「今から二時間やるって」
「了解」
と猫が敬礼するスタンプを送る
歓迎会の集団からは
新入生の女子たちをはやし立てなんだかんだ言ってはカクテルやハイボールなどの口当たりの良いお酒を飲ませようと騒いでいる声が聞こえてくる
その中に
「早千江ちゃん、コーラ味で美味しいからこれなら飲めるって」
「朱音ちゃんもこっちのカシスカクテルなら甘くておいしいよ」
なんて無理やり飲ませ始めた
やれやれ、下心丸出しで無理やり飲ませてるよ
そう思いながらため息をつくと目の前の店員のアルバイトの学生も同じように思っている目でため息をついている
思わず目が合うと互いに大騒ぎの方を目配せして、こちらからあきれて見せると、大きくうなづいていた
それからかれこれ一時間半ほどたつ
僕は三杯目のカルピスハイをチビチビやって軟骨から揚げをつまんでいると
女子学生に抱えられたサチと朱音が後ろを通っておトイレに行くようだ
その後、数分して二人は同じように女子学生に支えられて歓迎会の席に戻っていく
そのすぐあと、男子学生三人が僕の後ろの空いてるテーブル席で何事か相談し始める
「おい、どうするよ?」
「二人とももう意識無くなりかけてるなぁ」
「お前んとこのアパートこの近所だよな」
「じゃあ俺とこに連れていくか」
「おれ朱音ちゃんな」
「俺は早千江ちゃんがいいなぁ」
「おれも早千江ちゃんがいいんだけど」
「ならじゃんけんで」
「おう」
「最初はグー!ホイ!ホイ!ホイ!」
「俺が最初な!」
「でもお前らなんで美人の朱音ちゃんじゃなく早千江ちゃんなんだよ?」
「お前なあ・・・早千江ちゃんの方が間違いなく初めてだろ?」
「ああ・・・なるほど・・・彼氏持ちなんて言っても高校生だぜ?」
「最初を頂ける方がいいじゃんか?」
「ああぁ下半身がうずいてくる」
「でもあそこまで酔っぱらうと部屋まで運べるか?」
「ああそれな?」
「うちのアパートの近所に夜は人気のない公園があるんだけどそこの東屋の中なら?」
「よし、じゃあそこでやっちまうか」
「でも、最初にどうやってほかの女子から引き離す?」
「ほかに四人の女子はほかの男子が持ち帰るんだと」
「残り六人中四人は俺らの仲間みたいなもんだから邪魔しないよ」
「じゃあ残り二人は?」
「二人で二人を連れ帰るの無理だろうから俺たちでちゃんと送るって言えばいいだろ?」
「お前、早千江ちゃんや朱音ちゃんの家知ってんのかよ?」
「そんなの知るか」
「どこに送るか言ってないんだからいいだろ・・・」
「なる・・・嘘は言ってないな」
そう言うと三人は立ち上がって宴席へと戻っていった
糞が
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次回は「闇の中」です
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