第五十五話 短大
この年、僕は一年かけて第二種電気工事士・危険物乙種四類・二級ボイラー技士の資格を取得した
また、サチは八月の誕生日以降受験勉強に本格的に取り組んだ
十月には奨学金の申し込みも行い
十二月には短大へ入学願書を出し
一月に特待生の申し込み
二月に受験
そして同月、合格発表をむかえた
と言っても合格発表はネット発表で、しかも個人での合否判定確認のため家で出来た
結果は合格
しかし特待生にはなれなかったので学費は全額自己負担となった
後日、合格通知書が届き入学手続書類と一緒に入学納付金に関する案内が同封されていた
それがたちまちの悩みの種になった
入学金と一年目の授業料126万円のうち100万円は親が用意してくれるが足りない分の26万円は僕が入学祝代わりに出してあげることにした
「周平・・・ごめんね・・・」
「サチ・・・謝ってほしくて出すんじゃなくサチの喜ぶ笑顔のために出すから・・・そこはもっと違う言葉が欲しいかな?」
「周平・・・ありがとう!」
そう言ってサチは抱きついてくる
僕はサチの頭をなでながら
「受験・・・いっぱい頑張ったね・・・」
「私・・・特待生になって学費免除か半額を狙ってたけど力及ばずだった・・・」
「サチがもし特待生になってたら入学後の成績のために無理することになるかもしれないから・・・この方が無理しなくて良かったと思うけど・・・ダメかな・・・?」
サチはしばらく考えて
「確かにそれはなくはないかな・・・?」
「サチが無理して頑張って・・・そのせいで二人の時間が減ったりするのは嫌かな・・・?」
「ありがとね・・・周平」
「大好き・・・」
そう言ってサチは頭をグリグリと押し付けながら甘えてくる
そうしながら、でも、サチはその先の話を切り出した
「でもね、周平?私ねアルバイトする」
「やっぱり、二年目の学費105万円貯めないとだし・・・」
「毎月の定期代と、お小遣いも・・・って考えると無理がある?」
僕はサチにこう伝える
「僕はサチに無理させるつもりはないから・・・」
「二人で過ごす時間を犠牲にしてまでアルバイトするのは何か違うと思う」
「だから、二人で頑張って解決しようよ、サチ」
「うん・・・周平ありがと」
「でもね、私もちゃんと頑張るよ?」
こうしてサチは短大への入学手続きも終え
三月には高校の卒業式を終えた
ちなみに朱音もサチの短大が併設されている四年制大学への入学が決まった
また、サチは僕のバイト先の工場の近くのコンビニでのバイトを始めた
コンビニバイトのシフトは基本僕のバイトと合わせていて
僕のバイト休みにはサチもバイト休みになるようにしている
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次回は「新入生歓迎会への誘い」です
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