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カズタカは十六歳で己の時を止めた。そのとき、後藤先生は六十歳。若輩のまま彼岸へ旅立った教え子の存在に気付いたとき、六十四歳の彼女は何を思うだろうか。同窓会からの帰宅途上、ぼくは思わず天を仰いだ。寒空に星々は閃いている。この空の下のどこかで彼女の時は依然として未来へと流れ続けていることだろう。
小学校での二年弱、同じ教室の空気を吸った同郷の、カズタカ。いつまでも愚鈍で不器用だった愛すべき仲間。ぼくの脳裏には、劣等生のわきまえに従って朗読するカズタカのしゃがれ声と、ぼくの家をわざわざ訪ねて来て、去って行く後姿が交互に浮かんだ。
今日、わたくしは大人になり、カズタカは永遠となった。
〈了〉
カズタカ 春乃光 @splight
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