第27話 ケンジャキの六道プリンセス

「ゴメン遅れた」


 変な犬面妖精の登場に戸惑っている私のところに、馬面妖精のバキがやってきた。


「バキ、あれはあなたの仲間?」


 私は犬面妖精を指差す。

 すると。


「そうだよ。アイツはケンジャキ。……僕のライバルさ」


 ライバル……!


 妖精同士でも、そういうのあるんだね。

 私がそのことに驚いていると


「バギ、オデノブリンゼズダヂワザイギョーダ!」


 犬面がこっちに寄って来て、何か言っている。


 ……なんて言ったんだろうか?


「それはどうかな……? 僕の見つけた花蓮たちだって、素晴らしい逸材なんだぞ……?」


 ……なんか意思の疎通が成立している。

 どういうことなの?


 そして


 私がそう、2体の妖精の言い合いに戸惑っていると。


「変身! 六道シックスプリンセス!」


 その掛け声が2つした。


『Complete』




 輝く光の球。

 その閃光が消えたとき。


 その場に、2人の六道プリンセスが出現していた。




 ひとりは赤。

 赤い六道プリンセス。


 頭部以外の赤い全身タイツに、スカート、タンクトップみたいなものがついている。

 デザインにはフリルが入ってて、ギリ魔法少女に見える。

 そして両手両足に同色のグローブとブーツ。

 グローブの甲の部分に、剣と拳銃の意匠がある。


 そんな六道プリンセスに変身していたのは……なんと、咲さんだった。

 顔がそのまんまなのもあるけど……腰に日本刀を吊るしていたから。


 彼女は名乗った。


「阿修羅道の実行者! 殺戮の女神! バーサーカープリンセス!」




 もうひとりは黄色。

 黄色の六道プリンセス。


 こっちは全身タイツではなく、チョッキみたいな感じで。

 でも胸元が見えていて、半ズボン。


 両手両足に同色のグローブ&ブーツ。

 そのグローブとブーツには、蠅、飛蝗、太陽、豚のエンブレムが。


 これは……萬田君だった。

 ……ちょっと待てや。


「六道プリンセスは6人の少女じゃ無かったの!?」


 私が指差して妖精2体にツッコむと


「……男の子でも10才から14才までは女の子みたいなものだよね?」


「オンドゥルソウオモッデルンディスヨ」


 ……なんか私の方が常識の無い異常者の差別主義者みたいな扱いを受けてしまう。

 おかしいな……私、何か間違ってるの?


「餓鬼道の体現者! 飽食の騎士! グラトニープリンセス!」




 変身後の見得切りと、名乗りが終わった後。


 2人の六道プリンセスはそれぞれ、2体の妖魔獣と戦い始めた。


「閻魔さん!」


 タタタ、と国生さんが駆け寄って来た。

 私たちも負けていられないよね!


 私たちも変身しないと!


 私たちは六道ホンを取り出し、見つめ合い、頷き合った。


 行くよ!


 私たちは六道ホンをパカと開き。

 それぞれ、ナンバーを入力する。


『Standing by』


 電子音声。


 そして私たちは高く六道ホンを掲げて宣言した。


「変身! 六道シックスプリンセス!」


 そんな私たちの叫びに反応する六道ホン。


『Complete』


 その電子音声に合わせ私たちは光に包まれ。


 その光が消えたとき。

 私たちは六道プリンセスになっていた。


「地獄の使者! ヘルプリンセス!」


「畜生の化身! ビーストプリンセス!」


 そして私たちも見得を切る。

 見得を切った後。


 私たちも、妖魔獣目掛けて突っ込んでいった。

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