国外追放で規則を決める

 馬車に乗って国を出た二人は中で話していた。

「さて,計画無で旅を始めたいのだけれど…流石(さすが)に最初の目的地を決めないのはまずいわよね」

「あと滞在する日数とか一定にした方がいいと思う。規則(ルール)をつくったりするのはどうかな?」


 なんとなく決めた方がいいと思ったので,最初の目的地と規則(ルール)を決めることになった。


「まずは目的地だけど…今の場所からそこそこ近いところがいいわね」

「ここから三十分走ったところにビクニデルスという国があります。そこはどうでしょうか?」

 御者(ぎょしゃ)の人が提案してくれた。ビクニデルスは修行に行く人が1番最初に立ち寄る場所だという。面白そうなのでカーティスと話し合い,最初の目的地をビクニデルスという国に決めた。


「次に規則を決めたいのだけれど…必要以上にべたべた触らないというのを入れるべきだと思う。あと滞在期間は5日間はどうかな」

「最初の提案は駄目だけど滞在期間はいいと思うな。五日だとちょうど良さそうだし」

「あとルールはある?お金はどうしよっか」

「適当にそこの地域の近くで魔物狩って売ればいいんじゃ無いのー。一応それなりの実力はあるでしょー」

 色々話している内に大体のことが決まった


 * * *


「じゃあ決定したルールを言っていくわね。間違っていたら訂正してちょうだい?

まず基本的に滞在する日数は五日。だけど国がピンチの状況にあったら延ばしても良いものとする

次に,最初の目的地以外は道筋と次に行く国を決めてはいけない。これはよろしくねジェイクさん?」

「わかりました」

ジェイクと呼ばれた御者も今回の旅に付き合ってくれることになったのだ。

「僕が読むね。宿とか泊まるのに必要なお金は近くで魔物を狩ったり採掘をしてお金を得ること。

人が困っていたら滞在期間が過ぎようとそれが道のど真ん中だろうが助ける。そして…不必要にべたべたしない…リリス,これは要らないね?ね?」

 圧がすごい。親を殺されたくらいの殺気を向けてきているカーティスは置いておいてリリスは御者のジェイクに質問をした。


「ジェイクさんー。あとどれくらいでビクニデルスに着くんですか?」

「あと少し…あっ!見えてきましたよ!ここが始まりの国と言われているビクニデルスです。そうだここに滞在する為にはある程度の魔術技術が無いといけないそうです」


 ビクニデルスは冒険者や一級魔術師になる為に1番最初に向かう国だそうだ。その為冒険者を目指す人間は得意な武器での戦闘,一級魔術師を目指す人間は総合的な魔術をある程度使えないといけないらしい。しかし,ジェイクはともかく,リリスは一級魔術師でありカーティスは宮廷魔導師長より強く,剣術もすごいらしいので心配する必要はない。何よりここの試験で求められるのはこの世界での小学校といえる場所にいれば余裕でできるものばかりだった。これから勇者を目指すための装置が勇者よりも強い人間達に壊されるとなると何とも言えないのだった。

⦅あれ…友達の唯葉(ゆいは)から聞いた情報だと第二作目があるらしいんだけどマリアはそれの舞台が全世界ってことを考えるとここにも訪れる予定なのかな?⦆

「大丈夫!?泣いているよ?」

 あの聖女という名の悪魔を思い出すとトラウマで涙が出ていたらしい。カーティスを心配させないためにも彼女(マリア)のことを考えないことにした。


「ビクニデルス国境警備隊だ!まず質問をする。何の為にここにきた?」

「旅です。その為にここに滞在させて頂きたいと考えていまして…」

「分かった。もちろんこの国の旅人の入国システムは知っているよな。一応話しておくが,勇者やすごい魔術師を目指す人間は審査なしで入国するんだがな。旅人さん達本気の力を出してくれ。大丈夫だ。これは西の国のすごい魔術師でも破壊できなかった魔道具だ。」

 この人は愚かな失敗をしてしまった。二つある。一つはリリスとカーティスにと言ってしまったことだ。多分これを言わなければ少しは手加減をしていたことだろう。二つ目はフラグを建ててしまったことだ。この後その魔道具が壊されているなんて思ってもいなかったのだろう。


「「本気出していいんですか!?それじゃあいきますよ!」」

そう2人が言うとリリスはしなくてもいい詠唱を始め,カーティスは瞑想(めいそう)を始めた。

「世界の均衡(きんこう)を守りし神の力を使用し,目の前の魔道具を破壊しつくせ…」

「すぅぅぅぅぅぅぅぅぅ…」

「ちょ…リリスさんにカーティスさん!?魔道具を破壊する勢いで集中しないでください!」

「「はあっ!」」

 二人は全力の十%を出した。一応魔道具を壊してしまう恐れがあるため全力の一割に抑えたのだ。しかし,それでも目の前にある魔道具を壊してしまうほどの威力があったのだ。これを過剰攻撃(オーバーキル)ということを知ったのだった。


「「あっ…」」

「うわぁぁぁぁぁぁぁ!?ま,魔道具が!?なんていう重要なものを壊してくれたんだー!?あぁもう…塵になりかけてるよ…ったく過剰攻撃(オーバーキル)すんなっつーの…」

「国境の警備員さんごめんなさい…大丈夫です!近くの竜でも狩りに行ってきますので。竜の鱗(うろこ)を近くの質屋で売ればいいんですよ」

「わかった。実は西の国の元公爵令嬢が国外追放されたことによって全世界で魔族の動きが活発になっているんだ。これってやっぱりなんかの呪いなのか…?」

 国境警備隊の男の発言に三人は真顔になってしまった。なにせその西の国の公爵令嬢とはリリスの事だったからだ。

「呪いなんてないですよーあははー」

誤魔化(ごまか)すつもりが棒読みになってしまった。まずいと思い,話を切り上げた。

「とりあえずこの地域で暴れ回っている魔物を教えていただきたいです」

「えーっと,この地域で迷惑になっているのは主にフェンリル,ゴブリン,でボスの竜(ドラゴン)が2体だ。」

 国境警備隊の人がドラゴンは倒すのが大変と言っていたのでリリス達はフェンリルとゴブリンを狩ることに決めた。

「ジェイクさんは休んでいていいですよー」

そうやって御者と別れ,魔道具の弁償代を稼ぐことに決めた。

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