第4話:ポンコツジムニー。

ノワールは基本ツンデレ。

人と同じ顔立ちをしてるんだから笑おうと思えば笑えるはず・・・だけど

自分にとって楽しいことでもないかぎり無理には笑わない。

パーシモンの館に引っ越してから人と接触しないので余計笑わなくなった。


ノワールにとって僕は大切な人だと思われてるのか僕には甘えてくるし優しい。

爪は目についたら手入れしてるから以前みたいに寝てる間に背中に爪を

立てられることはなくなった。


毎日ヒマを持て余してゴロゴロしてるノワールに俺はスケッチブックと色鉛筆と

クレヨンにパステルを買ってやった。

絵でも描いてれば時間つぶしになるだろうと思ったし。


でも、でもこれがなんとノワールには絵やイラストの才能があることが分かった。

個性的で可愛い絵を描くんだ・・・ほっこり系って言うのかな。

持って行き用によっては絵本の挿絵に使えるって僕は思った。

そのうち出版社に持ち込んでみようかな。

ましかしたらトンビがタカを生むかもしれない。


さてさてパーシモンの館に引っ越したまではいいんだけど、ここから街へ

降りるのに、たちまち足「乗り物」がない・・・。


食材は買い置きがあるから、しばらくは凌げそうだけど早急に足がいる。

って思ってパーシモンの館を買った資金の余りからノワールとタンデム できる

よう125ccクラスのスクーターを買おうかと思ったんだ。


でもよく考えてみたら・・・ノワールのデカい耳。

ヘルメット被れないよな・・・被れないこともないかもしれないけど被ったら

猫耳折りたたまれて痛いだろ・・・ってことでスクーターはボツになった。

それに雨でも降った日のはスクーターじゃ〜な。


中古でいいからやっぱり車はいるよな・・・ポンコツでもいいからさ・・・。


そう思ってた矢先、それがなんとなんとグッドタイミング。

仕事で車の展示会のパンフのゼザインを頼まれたので中古屋さんに打ち合わせに

言った時のこと。


もちろん、ノワールだけパーシモンの館の残しておくわけにはいかない。

だから最寄りの無人駅から電車に乗って街に出た。

そこからバスに乗って中古車屋の近所のバス停で降りて徒歩で中古車屋さんを

訪ねた。


展示場を見せてもらって、修理工場の中も見せてもらった。

デザインの構成ができるまで一周間の猶予をもらった。


その間もノワールは車屋さんなんてはじめてで珍しかったのか、いろいろ

物色しては己の知識に吸収していた、と思って安心してたらそこは気まぐれな

猫ちゃん。


「涼ちゃん・・・飽きちゃったから帰ろうよ」


「ちょっと待って、すぐに終わるから・・・」


まあそうなるとは思ってたけど・・・。


で、ほぼ打ち合わせも終わったので帰ろうといて僕はふと塗装ブースを見た。

そのブースの中にかなりのヤれ具合のジムニーが一台置かれてあった。


「お・・・ジムニーか・・・あれいいじゃん」


で、社長さんに聞いてみた。


「すいません・・・あのジムニーは売り物じゃないんですか?」

「あ〜あれは昨日,お客さんのところから引き取って来たばかりだよ」

「売り物にはならんから塗装でもして自分が乗ろうかと思ってたんだけど・・・」


「あんた、あれ欲しいの?・・・欲しいなら売ってあげてもいいけど」


「売って欲しいです、お願いします・・・ちなみに・・・お値段は?」


「そうね・・・あのままでいいなら15万でいいわ」


「いいです、それで・・・譲ってください」


土地を売った金がまだ残っていたから俺はジムニーを買うことにした。


「ナンバーついたままだし名変だけでいいから、あんたの個人情報教えて」

「車検は一年ついてるからね」


「じゃ〜このままジムニーに乗って帰ってもいいですか?」


「いいよ・・どうぞ」


ポンコツそうだからエンジンすんなりかかるのかと思ったけど以外とこれが

元気よく始動した。

年式とか型番とか気にはならなかったけど古そう。

5速マニュアルのポンコツジムニー。


ってことで俺とノワールはジムニーに乗ってパーシモンの館まで帰った。


ステアリングに問題があるのか走ってると左に寄っていく。

乗り心地も悪いし道路環境が悪いと跳ねるし、でもノワールはそれが面白い

ってはしゃいだ。


乗用車的、特徴のない軽四は欲しいとは思わなかったので妥当なところだろうな。


本当はさ、昔のミゼットとかスバルの360とか理想なんだけど、理想は理想。

値段だって今時だから新車の普通車が普通に買えるくらいする。

いつぶっ壊れるかもしれないってのにね。


あと荷物を乗せられるから軽トラの中古でもって思ったけど、中古の軽トラも

以外と高いんだこれが。


だから手頃な足ができてよかった。

さっそく僕とノワールはポンコツジムニーに乗って街へ降りて行った。

まずはホームセンターかな。

 

庭を耕してノワールと家庭菜園をはじめなくちゃな・・・ノワールに菜園用の

可愛いサロペットに長靴、着せたかったんだ・・・それに被れなくてもいるよな。


麦わら帽子も・・。


つづく。


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