第39話 恵梨香
美冬が手帳の内容をかいつまんで話してくれた。
「世界は荒野にすぎないって、どういう意味なんだろう」
悠が教えてくれる。
「『友がいなければ世界は荒野にすぎない』。フランシス・ベーコンの言葉だと思う。なんかもう胸が苦しくなる。ほんと、きつい」
悠の鼻の頭がちょっと赤くなってる。あたしもなんか涙出そうになるので喉の奥をきゅっとしめてこらえる。
「牧くんはどうなるの?」
「多分、家裁送致の後、逆送になるだろうって。幇助の罪になるからって。」
美冬の表情も沈痛そのもの。ほんとみんなとにかく今回はいろいろあったよね。だから、言ってみる。
「ね、この金曜さ、うちに泊まりに来ない?ママに聞いたらいいよって。ママは幼なじみのところで夜通し飲むから、家好きに使ってって」
「マジ?行く!なんかもう語り明かしたいよ。いろいろありすぎて、お腹の中にいろんな気持ちたまりすぎてパンパンだもん。吐き出したい」
うんうんわかる。同じ気持ちだ。だから、あのコテージ以来のお泊りで、みんなで過ごしたい。
今のあたしたちにはそういう時間が必要だと思うんだ。
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