第3話初めてのオフ会終了
街に繰り出して数時間。
彼女らの買い物に付き合うと言うよりも後をついて行く時間だけが過ぎていっていた。
僕に女性のファッションの知識などは皆無に等しいので意見を求められてもアドバイスをすることは出来なかった。
意見を振られたら直感的にどちらが良いかを口にするぐらい。
そんな時間が数時間経過して僕らは揃って居酒屋に入っていく。
個室に案内された僕らは早々にアルコールを注文する。
すぐに生ジョッキが四つ運ばれてくると誰が言うわけでもなく乾杯は行われてオフでの飲み会はスタートする。
「いやぁ。甘ちゃんとお酒が飲める日が来るなんてねぇ〜」
スギザキは急に砕けたような態度を取ると僕の顔をまじまじと覗いていた。
「そうですね…僕も皆さんの様な美女と飲める日が来るとは思ってもいませんでした…」
「美女だって…嬉しいし…やっぱり甘ちゃんは可愛いね」
世界宇宙も表情を和らげるとニッコリと微笑んで僕に向き直った。
「皆…悪酔いしないようにね?今後も遊んで貰う予定なんだから」
ライ麦一番が女性陣に釘を刺すと彼女らは了承するように一つ頷いて再びジョッキを口に運んでいく。
「食べ物も適当に注文して良い?苦手なものはない?」
全員がそれに首を左右に振るとスギザキは店員さんを呼んで注文を行っていく。
ついでに空になったお酒を再び注文すると僕たちの初めてのオフ飲み会は暫く続くのであった。
「もう飲むのやめておこう」
周りの様子を確認したスギザキの言葉に寄って彼女らは自分自身が軽く酔っていることを理解したようだった。
「そうだね。そろそろお会計して帰ろうか」
ライ麦一番も同意するように言葉を口にする。
「もうお開きかぁ…もっと遊んでいたかったなぁ〜」
世界宇宙が残念そうな表情を浮かべるので僕は慰める訳では無いが事実を口にした。
「またオンラインで遊べますよ。皆さんの予定が合うならば…またオフラインでも…」
少しだけ自信なさげに口を開いた僕に彼女らは嬉しそうに微笑んだ。
「うん。じゃあまた今度予定合わせて会おうね?約束だよ?」
「二人っきりでもいいからね?」
「抜け駆けすな。でもまぁ私も同意見だよ」
三者三様の言葉にぎこちなく頷くと僕らの初めてのオフ飲み会は終了へと向かっていく。
会計を割り勘で済ませると僕らは各々の帰路に就く。
帰宅すると彼女らはそれぞれ僕に感謝と謝罪のようなチャットを送ってくる。
だが僕は謝罪は受け取ることなく感謝だけを素直に受け取ると翌日からも彼女らとオンライン上でふざけたやり取りを繰り広げるのであった。
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