13撃 変身できるに越したことはないんだろうけどな

『テレレ……! 液晶が破壊された液晶テレビなんて、需要がないテレ! もう、潮時……テレ……!』

『自爆!?』

『潔くて称賛に値するぅ』


 戦うのがめんどくさくなったのか、それとも勝てないと判断したのか。派手に爆散するマゾックの風圧によろめきつつも、二人は勝利を得た。

 変身解除後の聖は、横たわるグエンに近付く。友達じゃないなんて言っても、心配はするんだな。


「リアムちゃんほんとレアルタでいらない子認定されてない?」

「うるさいな、まだその時じゃないだけなんだろ」

「そうですよローズ様。坊ちゃんはまだその時ではないだけです」


 このやりとりを何度したことか。でもそろそろ俺も変身できてもいい頃だと思うんだ、俺だってファンシルで多くのカイブツを討伐してきたんだ。マオウ軍の妨害は出来ているはず。なのになぜ変身出来ない、俺には何が足りない?


「リアムちゃん、そんなに変身したいの?」

「ジンが出来て俺に出来ないってのがなんかやだ。急に変身したくなった」


 今までは時が来れば変身すればいいと思っていたが、ジンがノリで変身したとなれば話は別だ。もし俺がアヴァンチェンジャーを持っているのに変身できないと知られたら絶対揶揄われる。バレるようなヘマはないと思うが、それだけは避けたい。


「ジンに揶揄われるかもしれませんもんね。彼は何かと坊ちゃんに張り合いますから」

「ま、まぁ……俺がアヴァンチェンジャーを持ってるって知られない限りは」

「知られてますよ。一緒に稽古した際に、彼には全てを話してあります。察しがよく質問攻めにあったあの日は忘れられません……」


 視線を上へ向け、過去を思い出すように思い耽るスチュアート。

 まじかよ……。と言うことはいつ揶揄われてもおかしくないってことか。極力会わないようにしたいな。


「でもそれ昔の話だよね? 今リアムちゃんが変身できないことも知らないし、ファンシルのカイブツを退治してることもしらないよね?」

「確かに」


 今のジンにとっての俺は、レアルタの学校に通う学生だ。剣を握っているから分からない。つまり揶揄うには不確定要素が多すぎる。

 安心して変身できない理由を探ることが出来る。とは言っても、マゾックの活発化もあるし、変身できるに越したことはないんだろうけどな。

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