第171話 VSウェルター級ホセ3
更新お待たせしましたー。
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「ゲホッ、ゲホッ。ちっ、まだ胃液が上がって来やがる」
「良く耐えた。良く生き延びて戻ってきたぞ」
「奇襲は失敗したがな。やっぱりそう上手くいくもんじゃなかったか」
「上手くいけば儲けもの程度だっただろう」
「ああ。だが、その代償があの猛ラッシュだ」
第1R。ホセはゴングと同時に奇襲を仕掛けたものの、逆に猛反撃を食らってしまった。
なんとかその場で膝を付いて凌いだものの、あのまま変に対抗しようとしたら、そこで勝負は決まっていただろう。
ダウンから復帰した後はそこからダメージ回復の為に必死に逃げ回った。
「側から見りゃ無様だったろうな」
「そんなのは言わせておけば良い。皇の本当の強さはリングで相対した奴にしか分からんさ」
ホセは苦笑いしながら、自嘲するがトレーナーは必死に盛り立てる。それぐらい第1Rは壮絶だったのだ。
「だか、良くわかったな。やっぱり危険を覚悟で突っ込まないと勝負にならねぇ。皇のジャブの距離で戦うのは自殺行為だ。これがまだ普通のジャブならなんとかなったんだが…。フリッカーなんて色モノを使いやがって。全然軌道が読めねぇよ。メキシコでフリッカー対策もしてきたつもりだが、全くの別もんだな。質が違いすぎる」
「ああ。恐ろしく柔軟だな。あれは多分、直前でパンチの軌道を変えたりしてるぞ。普通はあんなパンチの打ち方をしてたら、筋肉や関節を痛めるはずなんだが…。見たところ負担があるようには見えん」
「はぁ…。なんだってこんな野郎が出てくるかね」
ホセはそう言いながら、トレーナーにマウスピースを嵌めてもらい立ち上がる。
「うだうだ言ってても仕方ねぇか。なんとか活路を見つけねぇと。このままじゃ嬲り殺しだぞ」
「骨は拾ってやる。思いっ切り行ってこい」
「それがトレーナーの言う事かよ」
そう言ってホセは第2Rに向かった。
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「突っ込んで来るだろうなぁ」
「だろうな」
第1Rが終わってセカンドに戻ってきた。ダウンを取って、そのまま勝負を決めたかったけど、ホセ選手はガードをガッチリ固めて逃げ切られてしまった。
闘争心を無くしてほんとに逃げ回ってるだけなら、仕留めるのは簡単だと思うけど。あのガードの奥から見えたギラギラした視線。
まだ勝負は諦めてないだろう。で、その上で向こうが何をしてくるかって話なんだけど、俺と父さんの予想ではまた突っ込んでくると思ってる。
ダウン後の第1Rはこれでもかってぐらいフリッカーを打ったからね。自分の腕なのに本物の鞭を振り回してる気分だった。
あれだけ一方的にやったら、あの距離で戦おうなんて思わないだろう。
「ただ突っ込んでくるだけなら、さっきの二の舞になるだけだけど。はてさてどうなるかな」
「隠し玉があるかもしれん。油断だけはするなよ。後、視野は広く持て。インファイトが続くと、どうしても視野が狭くなるからな。いきなり死角からパンチが飛んでくるって事もあり得るぞ」
「がってん」
まあ、まだ第1Rが終わったところだ。慌てて勝負を決めに行く場面でもない。父さんの言う通り、倒す事を意識し過ぎないように、広い視野を持って対応しよう。
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