第152話 反射速度


 皇拳聖18歳。彼女いない歴イコール年齢の童貞野郎である。18歳にしてはお金も持ってるし、顔立ちも母に似て悪くないと思ってるし、世間への知名度もそれなりで、中々の好物件だと自負している。


 だが、高校生の時は理想が高すぎると思われていて、中々縁に恵まれず。そして卒業してから出会いがないと焦り始めたところで、龍騎の姉から連絡があった。


 そりゃもうテンションは上がりましたよ。いきなり家にお呼ばれしたのもあって、急展開なムフフ18禁もあるのかって、期待したりもしてたさ。俺だって男の子だもの。


 で、今。


 「単刀直入に言うけど、拳聖君って目がおかしいよね」


 「はい?」


 何故かお前の目はおかしいと言われてしまったでござる。病気とかそういうお話だろうか? 医者に何か言われた事はないんだが。


 「あ、ごめんね。おかしいって言うのは、病気云々の話じゃなくて。反応速度、反射神経の事なんだ」


 「は、はぁ」


 あーそっちね。それは幼少期からの訓練の賜物ですよ。なんたって物心が付いた0歳の時から、眼球の収縮運動のトレーニングはしてるし、『コーディネーション』って特典の事を知ってからも、そういう能力を養うトレーニングはしてる。


 多分『超回復』が良い感じに作用してるんじゃないかって思うんだよね。


 で、美咲さんはスポーツ医学系の事を研究してるらしい。海外にずっといたのも、その道の権威的な人の元に勉強しに行ってたとかなんとか。


 まあ、難しい言葉ばっかりで半分も理解出来なかったけど、そういう事らしい。


 で、この前の俺の試合を龍騎と一緒に観にきてて、最初は俺という人物に純粋に興味があったみたいなんだけど、帰って動画を見てるうちに、俺の目の異常さに気付いたらしい。


 なんか一人の男としての興味から、実験生物に対しての興味に移ってませんかね…。ちょっぴり複雑ですよ。


 「ほら、こことか。明らかに死角からのパンチを見た瞬間に避ける動作に入ってるんだよ。まあ、これは間に合わなくて首を捻ってるみたいだけど」


 そこからは美咲さんの独壇場だった。パンチをみてから反応するまでの秒数みたいなのを、全ての試合で計ったらしく、どうやらその数値が異常なんだとか。


 馬鹿な俺にはあんまり理解出来なかったけど、これって調べるのに相当な労力が掛かってるよね。


 「で、拳聖君の反応速度の平均がこれ」


 タブレットには0.19秒って書かれてある。これは早いのかな? 


 「これでも充分早いんだけど、特筆すべきはここだよ」


 「0.11秒ですか? 誤差じゃないです?」


 「何言ってるんだい! これは本当に凄い事なんだよ!?」


 「おお…」


 美咲さんの今日一番の興奮具合。そんな姿も美しいなんて思ってる俺はイカれてるんだろうか。


 人間の反応限界が0.11秒らしい。俺がその限界域に達してると。流石神様製の特典ですな。訓練ありきとはいえ、こんな超人にしてくれるとは。


 「でもでも拳聖君はまだ18歳! もしかしたら、まだ伸びるかもしれないよね!」


 「無理じゃないです?」


 流石の神様も人間の限界を超えるような事にはしないんじゃないでしょうかね。


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 0.11秒で合ってるんですかね? アイシールド知識なんですけど。

 

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