第126話 VSスーパーライト級ジェイソン3
「なんか自分のペースで試合を進めてるはずなのに、良いようにコントロールされてる気がする」
「そうか? こっちから見たら悪くない試合の入りだったぞ。まあ、あのダウンには違和感があったが」
セコンドに戻って椅子に座り、口を洗い流しながら父さんと話をする。
すぐに適応してくるからかな? 全てを見透かされてる感じで気味が悪い。
「ああ、夜木屋選手と試合した時みたいな感じかも。なんか伏線的なのを張ってるかもしれないな」
「ふむ。考えすぎだとは思うが、実際戦ってる拳聖がそう言うなら何かあるのかもしれないな。次のラウンドからはそこら辺に注意して戦っていけ。だが、警戒し過ぎて消極的になるのも問題だ。もしかしたらそれが狙いかもしれないからな」
「観察しつつ攻めつつって感じか。難しい試合になりそう」
「まあ、そんなのを気にせず薙ぎ払う事が出来たら話は早いんだがな」
「ガードが硬いんです」
「ガードの上からでもお前のパンチは効くから気にせず打っていけ」
「それはそれで疲れるんだよなぁ」
はてさてどんな手札を隠してるのやら。油断だけはしないようにしないと。この調子でいけば、遠からず仕留めれそうな気がするんだけど、気を抜いた瞬間を狙ってるかもしれないからね。
☆★☆★☆★
「天才を相手にするのはやんなっちゃうね。パンチは見えてないと思うんだけど。全部避けられちゃったよ」
「感覚で避けてるな。確かに天才だ」
「それにカウンターを合わせてくるんだからね。威力を流せて良かったよ。流せてなかったらあそこで試合が終わってたかもしれない」
「序盤の攻勢はこちらの予想以上だった。だが、あのダウンで仕切り直せたのは良かっただろう?」
「そうだけどね。いきなりポイントを取られたのは拙いかな。彼が脆い選手なら俺のパンチでも倒せるかもしれないけど、彼はほとんどパンチをもらった記録がないからなぁ」
場所は変わってジェイソン陣営。
ジェイソンは用意された椅子に座って、冷静にトレーナーと話し合っていた。
「フリッカーはなんとかなりそうかな? あれがトップスピードならだけど」
「あのパンチはガード越しからでも、ダメージをもらうからな。ケヴィンも目がやられてたし、あれはなるべく受けないのが正解だろう」
「次のラウンドでスタイルチェンジをしてくるなら楽で良いんだけど、どうかなぁ」
「しないだろうな。今の形で向こうは押せてる」
「それならそれで良いけど。問題は後半俺が耐えれるかだね」
ジェイソンはダウンを喫したが、予想の範囲内かのようにこれからの試合展開を考える。
序盤の攻勢には面を食らったが、それにも慣れた。あれが全力ではないだろうが、あのスピード感なら対応出来ると、ジェイソンは考えていた。
「俺が思う彼の弱点を上手く突けると良いんだけどね」
「お前のやり方次第だな。今は耐えるのが正解だ」
「分かってるけどね。彼のパンチは本当に痛いんだよ。芯にクるというか…。グローブ中に石でも詰めてるんじゃないかな」
「打たれ強いのがお前の取り柄だろうが」
「他人事だと思って簡単に言ってくれちゃって」
最後の方はお互いに言い合いをしながら、ジェイソンは第2Rのリングに向かった。
まだまだ試合は始まったばかりである。
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