第125話 VSスーパーライト級ジェイソン2
手応えゼロでダウン。なんとも不気味である。
「良い調子で攻めれてたのに。なんかスカされた気分だ」
レフリーがカウントをしてるけど、ジェイソン選手は既に片膝を突いて、しっかりと休憩している。これはわざとダウンしたか?
あのまま攻め続けられるのはやばいからと緊急避難したとか? それでもダウンして逃げるのはリスクが高そうだけど。
ポイント的に。ジェイソン選手は判定勝ちが多い選手だし、気のせいかな?
もしこれがわざとなら、俺を倒す算段があるって事になる。一応頭に入れておいた方が良いかもしれないな。
そんな事を思ってると、カウント8でスッとジェイソン選手は立った。視線もしっかりしてるし、ふらついたりもしていない。
「拳聖ー! 焦るなよ!!」
ダウンさせたのにほぼノーダメージっぽい姿を見せられるのはちょっと凹むなーって考えてたら、セコンドから父さんが大声で声を掛けてきた。
分かってますぜ。まだ第1Rだしな。
あそこで倒れずにもう少しダメージを蓄積させてからクリーンヒットさせたら、また話は違ったんだけど。
なんかそう考えるとやっぱりわざとダウンしたんじゃないかって疑っちゃうな。
「おっ?」
試合が再開して、とりあえずさっきと同じように攻めてみたけど、ジャブがちゃんと見切られてる。
大袈裟に避けるんじゃなくて、ちゃんと見て躱すというか、当たるやつでもグローブで防がれてる。あの短時間でしっかりと見切ったらしい。
凄いなと敵ながら感心してたら、ジェイソン選手が一歩踏み込んできた。インファイトをご所望か? 望むところだが。
そう思ってしっかり踏ん張って応戦。
『ダウンしたジェイソンが仕掛けたー! 皇拳聖はこれを応戦! リング中央での殴り合いだ! 第1Rからクライマックスのようなパンチの応酬! 観客のボルテージは否応なく上がっていきます!』
この人。死角を作るのが上手いな。映像では分からなかったけど、的確に死角を作ってパンチを繰り出してくる。俺はガードを下げてるから、死角は少ない筈なんだけどな。
今は感覚で避けてるけど、こればっかりに頼るのもまずい。俺の感覚がズレれば正面衝突するかもしれない。
ここはリズムを変えるべきか。
いつも通りのリズムから半拍遅らせてパンチを打ったり、逆に早めて打ったり。パンチのスピード自体を少し遅らせてみたりと、小細工していく。
こういう時の為に練習しておいて良かったぜ。急に自分のリズムを意図的に崩すのは難しいからな。どうしても癖ってのがあるから。
慣れてないと逆に弱体化する事になりかねない。父さんがそういう練習もしておけって言ってくれてて良かった。流石に元世界チャンピオン。アドバイスも伊達じゃないぜ。
しかし、20秒ぐらいはそれで通用したけど、ジェイソン選手はあっさりこれにも適応してきた。有効打を何発か当てれただけで、しっかりと対処してくる。
お互いがリング中央辺りでぐるぐるしながら打ち合ってると、第1R終了のゴングが鳴る。
中々曲者だなぁ。適応力が高い。これでタフって噂なんだろ? マジで今回は苦戦するかもしれん。
パンチ力があったら更に苦戦しただろうなぁ。そこだけは幸いか。
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