第100話 VSスーパーライト級ケヴィン2
とりあえず突っ込んでみました。
最初の1分ぐらいは仕掛けてみるって決めてたし。
さっきのアッパーに細心の注意を払いつつ、ケヴィン選手のパンチを掻い潜って、接近戦へ。やっぱりアッパーが飛んできたけど、今回は予想してたので冷静に回避する。
が、回避した場所にフックが飛んできた。
このアッパーまでもが撒き餌だったらしい。
俺はギリギリのところで腕を差し込んで、ガードを間に合わせる。ガード越しからでもちょっとばかしダメージをもらったけど、直撃より全然良いよね。
で、またもやケヴィン選手が距離を取ろうとしたけど、今回は逃さん。フックにひるまず接近した事によって、距離を取られる前に接近成功。
そのままボディフックをダブルで叩き込む。しっかりガードはされてるけど関係ねぇ。
「シッ!!」
「フッ!」
至近距離でのパンチの応酬。
ケヴィン選手も距離を取れないと思ったのか、地に足を付けて応戦してきた。
『おーっと! 第1Rからクライマックスか! お互い危険域から逃げずに殴り合いだー! しかし、接近戦では皇選手に分があるか! 徐々にケヴィン選手が押されてきたぞ!!』
顔へのフェイントでボディに。
はたまたボディをフェイントに顔面へ。
ケヴィン選手が繰り出してくるパンチは冷静に捌きつつ、有効打を与える。
「グッ…」
ボディに良いのが入った。ケヴィン選手から苦悶の声が聞こえたけど、ガードは崩れない。カチカチのガードである。
それならもう一発と左フックをボディに叩き込もうとした瞬間、ケヴィン選手の右肩が一瞬動くのが見えた。
俺はパンチを途中でキャンセルしてその場から大きく避ける。それが功を奏したのか、俺の顔があった場所に、ケヴィン選手が右ストレートを繰り出していた。
「ちっ」
距離を取っちゃったな。
仕切り直しか。まあ、あのパンチを貰わなかっただけ良かったと思おう。完璧なタイミングのカウンターだった。
たまたま右肩が目に入らなかったら、モロにあのストレートをもらってたかもしれない。
時計をチラッと見ると、既に2分30秒が経過していた。最初の1分ぐらいの予定だったのに、ちょっと張り切りすぎてしまった。
そこから気持ち程度のジャブの応酬をして、第1Rが終了した。
「つっかれたー」
「思った以上にガードが固いな」
口を湿らす程度に水分補給をしつつ、父さんと話をする。
「まだ第1Rだからなんとも言えないけど、あのガードを抜くのは時間がかかるかも」
「だな。パンチをもらった後もガードが崩れないのは流石としか言いようがない」
動画でも分かってた事だけど、本当に基礎がしっかりしてる人だ。あの人をボクシングの教科書に載せたら良いんじゃいかってレベルで。
それでいて臨機応変に対応してくる。
頭も良いみたいだし、厄介な選手だよ。
「次のラウンドはアッパーも使っていけ。色んなパンチを見せつつ、ガードの穴がないか探していこう」
「いえっさー」
今日の試合も長くなるかもしれないな。
そろそろ1RKOとかして、ドヤ顔ダブルピースとかしたかったんだけど。
まあ、残念ながら今日もダメでした。
いつかは開始10秒で勝利とかやってみたいもんです。
まっ、先の事はともかく。
今は目の前の試合に集中しなきゃな。
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