第3章 スーパーライト級
第88話 18歳
「誕生日おめでとう」
「てんきゅー!」
目の前に用意されたケーキの蝋燭に付けられた日を、お礼を言いながら消す。
皇拳聖。18歳になりました。
「俺と美春からの誕生日プレゼントはこれだ」
父さんと母さんから貰ったのは、紙だ。
「何これ?」
「読んでみたら分かるわ」
ふむ? とりあえず読んでみて、ふむ。
「何これ?」
「はぁ」
母さんにため息を吐かれちゃった。
ごめんなさいね、出来の悪い息子で。
なんか会社がどうたらとか書かれてるけど、難しい事は分からんのです。
「お前の資産を運用する為の会社と、お前のアパレルブランドの会社だ」
「ほう?」
会社ねぇ。
無理よ? 俺がそんなの出来る訳ない。
資産運用とかも良く分からんし。アパレルは分かる。ちょっと前にやってみないかって母さんに言われて返事をしたのを覚えてる。
「基本的な事は兄さんに任せておけば良いわ。放っておけばお金が増えるわよ」
そうなの? 日本ってそんなにちょろいの? 違うよね? 母さんのお兄さん、伯父さんが凄いだけだよね?
アパレルブランドってのはあれだ。
俺の趣味みたいなのがありまして。
ルトゥールのお絵描き配信とか見てますとね、なんか俺も描いてみたいなーと思うようになりまして。
で、いざ描いてみたらそこそこお上手な絵が描けた訳だ。特典の『コーディネーション』が良い感じに作用してるんじゃないかと睨んでるが、それはさておき。
その絵を見た母さんが、これはいけると思ったのか、話を打診されてあれよあれよとこうなった。
俺がデザインを描いたら後は形にしてくれるって寸法らしい。暇な時に描き溜めてたオリジナルロゴが火を吹くぜ。
………仕方ないよ。厨二病だった時期はいっぱい描いたよ。誰しもが通る道だと思いますね、はい。
これが父さん母さんの誕生日プレゼントだ。出来れば赤点取っても一回見逃してくれる権利とかが良かったけど、これはこれでとても嬉しい。
「じゃあ次は聖歌ね」
続いてプレゼントを用意してくれたのは聖歌。
小学4年生になって可愛さはグレンラガン。少しおませな所もあるけど、そんな所もベリーキュート。悪い虫が付かないかお兄ちゃん心配です。
「はい、どーぞ」
「ありがとう」
深々とお礼をしてもらったプレゼントは、有名スポーツブランドのタオルだった。
結構お値段がするもので、お金はどうしたのかなと思ったけど、どうやら毎日お手伝いしてお金をコツコツ貯めてたらしい。
なんて出来た妹なんだ。
お兄ちゃん嬉しい。
聖歌の誕生日プレゼントはファイトマネー全部使ってなんでも買っちゃうからね。
「白鳥さんからもお前宛のプレゼントを預かってるぞ」
「白鳥さん?」
はて。代理人としてビジネスな関係で仲良くさせてもらってるけども、プレゼントまで用意して頂けるとは。嬉しいですな。
因みに伯父さんとか、爺ちゃん婆ちゃんからのプレゼントは豪快に現金だった。
確かにこれが一番分かりやすくて、嬉しいプレゼントだわな。
それはさておき。
またもや、紙だったので封筒を開けて中を見てみると。
「ほう」
そこには次の対戦相手が決まった事が書かれていた。
最高の誕生日プレゼントですね、ええ。
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