第85話 食べれる喜び
「あぁ。最高。美味い。美味い。体にあんまりよろしくない食べ物ってなんでこんなに美味しいんだろうな」
「カップラーメンを食べて半泣きになる高校生はそうはいないよな」
「龍騎もボクシングやるか? 食べる喜びってのを味わえるぞ」
「拳聖の減量姿をみてやりたいとは思わないな」
学校でのお昼休み。
減量明けの俺に怖いものはない。
昨日は試合終わりであんまりガッツリ食べれなかったし、朝も同じく。
でも今は違う。
食堂でお湯だけもらって、減量中に無性に食べたかったカップラーメンを食べる。
ほんと美味しい。至ってシンプルなカレー味のカップラーメンなんだけど。
「今日から一週間ぐらいは好きなだけ食い散らかすぞ」
焼肉も寿司もラーメンも。大好物の唐揚げも。甘いものも。当分食べ物を見たくないってぐらい食べてやる。
「一週間しか自由がないのか。体重管理があるスポーツは大変だな」
「いや、俺が階級上げればもう少し楽になると思うけどね。ライト級の平均よりかなりデカいし」
「まだ伸びてるのか?」
「そうなんだよ。この前1cm伸びてた」
「普通はそろそろ止まるはずなのになぁ」
現在187cmなり。
そろそろ止まってくれないとマジでやばい。でもヘビー級を目指すならもう少し大きい方が良いんじゃないかって葛藤がある。
『超回復』で筋肉は対抗出来るかもしれないけど、身長はどうしようもないからね。
もしかしたら『超回復』のせいで身長が伸びてるのかもしれないが。骨とかにも作用してるのかも。特典なんて、現代の医学じゃ分からんだろうし。
俺の息子さんだってね…。自家発電すればするほど成長してるような気がするんだよ。
流石に最近は止まったけども。おはようしたら20cmオーバーだ。デカすぎるのは逆に女性に負担になるよねとちょっぴり凹んでます。
まあ、それはさておき。
「じゃあ階級を上げるのか?」
「迷ってる。チャンピオンになったんだから一回ぐらいは防衛戦をするべきかなって思うんだよね。でも減量がなぁ」
「さっさと上に行っちまっても良いと思うけどな。自分の体と折り合いがつき始めたら、防衛戦をすれば良いんじゃねぇか?」
「うーん…」
「まっ、あくまでも素人意見だからな。気にしないでくれ」
いや、チンピラの言う事ももっともなんだけどね。一回ぐらい防衛戦しとかないと9階級制覇したときにケチをつけられそうでなぁ。
特にライト級は強い奴もまだまだ居るだろうし、なんだったら別団体のチャンピオンだっている。
それに挑みたい気分もあるけど、そろそろマジで限界なんだよね。『超回復』は練習したら筋肉になるから。俺の場合はボクシングに必要な筋肉をなるべくつけるようにきて、体重増加を抑えてるけど。それでも徐々に筋肉はついていく。
最初『超回復』最強とか思ってたけど、体重管理をしないといけないスポーツではちょっと枷になりつつある。ヘビー級までいけば気にする必要はないんだけど、それはまだまだ先の話だし。
「まあ、その辺は父さん達と相談だな」
「それよりも拳聖は目の前の敵を倒さなきゃな」
「うぐっ」
テストめぇ。
あいつはいつも俺を苦しめる。
俺の永遠のライバルだぜ。
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