第74話 一難去って
「三年生!! 三年生です!!」
「はいはい。良かったな」
皆さん朗報です。皇拳聖。
無事三年生に進級する事が出来ました。
地獄のテスト一週間前の勉強を耐え抜き、そしてテストの野郎からの猛ラッシュを、自慢のディフェンスで捌いての12R判定勝ち。
ギリギリ赤点回避! 勝利である!!
「春休みは嬉しすぎて練習が楽しくて仕方なかった」
「俺も拳聖のお陰で楽しめたぞ。ありがとうな」
「いや、本当にチン・ピラ男には感謝してるんだ。あれぐらい良いって事よ」
「その呼び方はやめろ」
春休みはついつい楽しみまくってしまった。スパーリング三銃士を何度も何度も転がしちゃったよ。あの三人ももう少しで試合って事もあったからね。負けて欲しくないし、余計に気合いが入った。
で、チン・ピラ男こと、澤村龍騎君。
本当に、ほんっとーにお世話になった。
テスト前日まで付きっきりで、俺に勉強を教えてくれた。滅茶苦茶感謝してる。
これで成績を落としてたら申し訳ないと思ってたんだけど、なんと学年二位。
一体どうなってんだよ。
それはさておき。本当に感謝しててお礼がしたかった。とても言葉だけじゃ伝えきれない。という事で、温泉のペアチケットをあげた。
ふふふ。福引きで当たったってチンピラには言ったけど、ちゃんと買ったのだ。
流石に高価すぎるプレゼントは断られるかと思ってね。福引きで当たったんだったら、まぁ良いだろうみたいなノリで渡した。
春休みに彼女と楽しんできたらしい。
「くたばれリア充」
「もう教えてやんないぞ?」
「へへっ。やだなぁ。冗談じゃねぇっすか、龍騎さん。肩でも揉みましょうか? いつもの様に靴を舐めるのだけは勘弁してくだせぇ! 流石に人前では恥ずかしいっす!!」
「やめろやめろ。俺が普段からおかしい事をさせてるみたいになるだろ」
いや、ほんと三年生になれて良かった。
ボクシング没収も回避。拳聖ちゃんはいつもギリギリねなんて母さんからお小言は頂いたが。あんなレベルの高い高校で、ギリギリ赤点を取ってないんだから、そこを評価してほしいね。
「拳聖の次の問題は最初の中間テストだよなぁ」
「? なんで? 5月後半でしょ? 試合は5月前半だから、前みたいに減量で糖分が足らない、集中出来ないみたいな事態にはならないと思うよ?」
あの時はやばかった。ただでさえ馬鹿な頭が回らないんだから。
「いや、そろそろ本格的に体重を落としてくんだろ? しかも今回は前よりもきつそうだ。それで授業に集中出来るのか? テスト範囲の授業がほとんど減量期間だぞ?」
「おおう…」
なんて事だ。なんて事だ。なんて事だ。
大丈夫か、俺。試合が終わってから勉強し始めて赤点を回避出来るのか。
しかもチンピラが言うように、今回の減量はかなりヤバい。
俺の現在の体重は72キロぐらい。ライト級のリミットは61.23キロ。
ここから約10キロも落とさないといけないのだ。
「龍騎様。私めのボクシング人生はあなたに懸ってます。何卒、何卒よろしくお願いしますぞ」
「暗記モノは自分でなんとかしろよ」
だな。せめてそれぐらいは頑張ろう。
それにしても減量か…。嫌だなぁ。
早く階級上げたいよ。
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