第63話 母とお喋り
俺の恋愛事情についてはともかく。
練習出来ないなら、何をしようか。
俺はこれまで本当にボクシング一筋で、他に趣味らしい趣味がない。動画サイトを脳死で見るくらいだ。
「拳聖ちゃん、学校の宿題は終わったのかしら?」
「ばっちりですよ」
リビングで未だやってる正月番組を見てると、別室でドラマのセリフ練習をしていた母さんがやってきた。
俺は毎回母さんのドラマや映画は楽しみにしてるので、ネタバレをしないように、わざわざ別室でやってくれているのだ。今度のドラマはどんなのか今から楽しみです。
暇だ暇だとリビングにマットを敷いて、とりあえず柔軟をする。特典で貰った柔軟な体のお陰で、俺は軟体人間だ。多分びっくりショーにも出れる。それでいて体は引き締まってるんだから、ほんと特典の力って凄い。
「私も体は柔らかい方だけど、拳聖ちゃんには負けるわねぇ」
「なんかもう暇さえあればとりあえずやってるからね」
なんかもう癖みたいなもんだ。2.3歳からやってるし。普通に気持ち良いからずっと継続してやっている。コーディネーション能力を上げる為の訓練も未だに継続してる。
あれは12歳を過ぎたらほとんど効果がなくなるみたいだけど、俺は特典があるから。効果があると思って頑張ってる。
「拳聖ちゃん、今日のご飯はどうするのかしら?」
「むーん。今日は何を食べたい気分かなぁ」
試合後1週間ぐらいは、晩御飯を決める権利が俺にある。試合が決まると減量をしないといけないから、束の間の贅沢をさせてくれるんだ。この試合後1週間と試合前のうどんが楽しみで仕方ない。
母さんはうどん以外の料理も絶品だし、外食だってありだ。元旦はおせちとお雑煮を食べたが、2日はお寿司、3日はカレー、昨日はとても体に悪そうな二郎系ラーメンを食べに行った。
三日連続外食続きなのでそろそろ母さんの手料理が食べたいところ。
やはり俺の大好物の唐揚げだろうか。
………なるほど。こういう風に母さんに甘えてるから、俺からマザコンオーラが出てるんだろう。でも仕方ないよね。母さんはほぼ完璧なんだもの。怒ったら怖いけど。
唯一の欠点は方向音痴なところか。
マジで。家から近くのスーパーに行くのにも迷ったりしてらっしゃる。車のナビに従えばいいだけなのに。誰か付き添いがいないと高確率で迷子になるからね。
「あ、車で思い出した。今年は免許取りに行こう」
「18歳になるものね」
すっかり忘れてた。俺に運転する機会があるのかは分からないが、免許を持っていて損はないだろう。カッコいい車にも乗ってみたいしね。
「ファイトマネーはほぼ使ってないし、30万ぐらいはあるよね?」
「もっとあるわよ」
俺は自分でお金を管理してないので、貯金がどれだけあるのかも知らない。こういうのも自分で管理した方が良いんだろうか。
今は両親が管理してくれている。まぁ、まだ高校生だしね。
「拳聖ちゃんにもしっかり管理してくれるお嫁さんが来てくれたら良いんだけど」
「俺もそう思う」
馬鹿だしね。あまり大金を持たせすぎるとロクな事をしないよ。散財の方法なんて分からないけど。ギャンブルにもあんまり興味ないしなぁ。一回カジノには行ってみたいと思うけど。
あとはブランド品を爆買いするくらいか。
でも俺のファイトマネーじゃ難しいだろうな。OPBFのタイトル戦は凄いファイトマネーだったけど、それまではボクシング一本で食べて行くには、難しい額だったし。
ほんとならバイトとかもしなくちゃいけなかったんだろうな。裕福でサポートしてくれる家族に感謝だぜ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます