第12話 ジムでの練習


 縄跳び。

 ボクサーが高速でやってるのを見た事がある人がいると思う。手首や腕全体を鍛えられて、柔軟性も養われるという優れ物だ。

 家でも父さんと一緒にやってたけど、ジムでも勿論やる。普通の縄跳びと違って、少し重めの物を使っており、中々体力を使う。


 「よっしゃ、休憩や」


 「ふひぃー」


 3分跳んで30秒休憩。

 これを6セット。プロの人は12Rぐらいやるそうだが、俺はまだ小学五年生。これでも多いくらいらしい。縄跳びで外から見てると楽そうだけど、実際やってみると、3分も高速で跳ぶのはかなりきつい。


 それが終わるとシャドーボクシング。

 3分を5セット程。間に30秒のインターバルを挟む。

 主にフットワークやスピードを重視して行う。仮想敵は父さんだ。一番動画を見てるから対戦相手として申し分ない。


 「想像の中でも勝てん。パンチが当たらん」


 勿論、俺の記憶の中でも美化してる可能性もあるが、それでも父さんはまだまだ超えられない壁であると再認識。いつかは勝ちたいものです。


 それが終わればサンドバッグ。

 コンビネーションを確かめる事を意識して、ひたすら殴る。殴る。殴りまくる。

 これも3分5セット程。間に30秒のインターバル。


 「12R殴り続けても息切れしない体力作りの道は遠いな」


 時間にすると、練習時間はかなり短い。

 でも密度が半端ないので、毎回練習終わりはへとへとである。小学生の練習量ではないと何回も言われてるけど、俺はやり遂げる。

 世界チャンピオンになりたいのだ。


 そしてスパーリング。

 これは主にディフェンスを意識している。

 ので、結果殴られまくる。相手は父さんだし。

 手を出せる場面でも、極力手を出さずにひたすらディフェンスに徹する。

 俺のほぼノーガードはディフェンスが命なのだ。

 ディフェンスに自信を持ってこそ、ノーガードで大胆に攻めれるってもんよ。


 スパーリングが終わると最後は筋トレ。

 と言っても、やるのは懸垂と首のエクササイズだけだ。

 首ブリッジやら首逆立ちやら。慣れるまでは補助ありでもかなり苦労したけど、今ではお茶の子さいさいである。


 そして練習終わりのリカバリー。

 これは過去に有名な世界チャンピオンがやってた方法で、父さんが自費でジムに投入したらしい。

 最初は懐疑的だった会長だけど、効果が確認出来た事で父さんから買い取り更に増設。

 今では所属してる練習生、プロの人も愛用してるらしい。


 それがクライオセラピー。

 原理は水風呂と似ている。体を冷却して血管を収縮させる。冷却終了後、血管が通常より広がりを見せて、血流がより活発になり、各種栄養がスピーディーに体の細部に送る事が出来る。

 故に、破壊された筋線維の回復も通常より早くなるって寸法らしい。


 で、クライオセラピーは、液体窒素でマイナス180度まで冷やす。

 人一人が入れるくらいの円柱のスペースの中に入って、そこに液体窒素を気化させたガスを身体に当てる。時間は大体2.3分くらい。


 最初は泣きそうなくらい寒かった。

 ってか、泣いた。でも今ではかなり病みつきになっている。これはたまらんぜよ。


 で、ジムで軽く軽食を食べて帰宅。

 そして家でもご飯を食べて自由時間。

 これが小学生五年生になった俺の一日である。

 ジムには毎日行ってる訳ではなく週に四日。

 休みの日も家で練習してるけど、ジムでの練習量よりは控えめにしている。


 「宿題をやらねば」


 母さんとの約束は友達とちゃんと遊ぶ時間を作る事と勉強を疎かにしない事。

 他にも色々細かい事はあるが、破ると特大の雷が落とされると思うのできちんとこなしている。

 ジムが休みの日は友達と公園で遊んでるしね。

 大体のスポーツは万能に出来るから俺は結構人気者なのである。


 「前世でも頭が悪かったけど今世でも中々。毎日ちゃんと勉強してるのに100点が取れぬ。小五の問題だぞ?」


 前世で一応高校卒業をしたというのに、小学生の問題すら100点を取れないってどうなんだ。

 一応、母さんが納得する点数は取れてるけど、もっと勉強が難しくなる中学高校が心配である。



 「もうすぐでUJの大会だなぁ」


 夏にUJ、アンダージュニアの大会がある。

 小学五年生から中学三年生まで参加出来る大会なのだが。


 父さんと会長は試合が出来るかどうか微妙と言っていた。相手が居ないらしい。

 一応小学生の46kgの部に出場予定なんだけど、その部は誰も登録していない。


 「こういう時は体が大きいと不便だなぁ。プロになれば相手には困らないのに」


 小学生で中学生の部には出れないのかね。

 中学生になればまだ相手は居るんだけど。


 「試合デビューはお預けかな。ジムに対戦相手はいっぱいいるから良いんだけどさ」


 父さんとも身長10cmぐらいしか差がないから、やろうと思えばやれるし。

 元世界チャンピオンとのスパーリングなんて、最高の贅沢ですよ。ありがたい環境ですな。



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 Googl○先生で調べても良く分からんかったんですが、小学生でも中学生の部には出れるんですかね? 井上尚○は小六の時に中学生に勝ったってwik○に書いてるから、出れるのかなーとか思っちゃったり。


 って事でこの辺は飛ばして一気に高校生ぐらいまで駆け足で進もうかなと。

 プロの事なら結構詳しく書いてあるっぽいので。

 アマチュアの事が全然分からんのです。

 



 


 

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