最終話 娘の声を聞けた日
モモコを無事に見つけたけど、身体に異常がないかを確認する為に、その日は病院へ入院する事になり、カイトはヒロ君とヒロ君の両親に任せて、私はモモコの付き添いをしていた。
キャンプ場でモモコを抱きしめてからは、医師による問診を受ける時でさえ、私から離れる時は不安な表情をしていた。
「モモちゃん、ママはここに居るから大丈夫だからね?」
『コクッ』
一通りの検査が終わって、身体には異常は見当たらなかったけど、今回の事がトラウマとなりPTSDを発症している可能性を指摘された。
「モモちゃんは、お母さんから離れる事への不安や、暗い場所で1人で居る事への不安から、情緒が不安定になるかも知れません。心の成長と共に治るかと思いますが、絶対とは言い切れません」
「精神科での治療が必要という事でしょうか?」
「暫くは様子を見ましょう。ただ、明らかにストレスを感じてるようなら、それを回避出来るだけ避けてあげてください」
「判りました」
診断を終えてモモコと病室へ戻って一緒に寝たけど、部屋の灯りを完全に落とすと『ビクッ』として少し身を震わせた為に、看護師に説明をして明るいままにさせてもらった。寝てる時も私にしがみ付いてたまに口元が動いていた。あの時の事を思い出してるのかな?と思ってモモコの頭をそっと触れて撫でる。
「ママ……」
モモコの口からママと呼ぶ声が聞こえた……
「嘘……」
「ママ」
「ごめんね、怖い思いをさせてごめんね」
私はモモコを『ギュッ』と抱きしめてると涙が溢れ出した。『ポロポロ』と溢れた涙がモモコに当たると目を覚ましてしまった。
「モモちゃん起こしちゃった?ごめんね」
『ニコッ』
モモコは笑顔を見せ奇跡の瞬間が訪れた。
「ママ、ありがとう、だいすき」
どれだけこの瞬間を待ち望んでいたのだろう。
モモコが生まれてからずっとこの瞬間の為に頑張って来たのだと思う。
「モモちゃん、大好きだよ」
『ニコッ』
モモコを授かって4年が経って、私は愛する娘の本当の声を聞く事が出来たのだった。
娘の声を聞けた日をお読み頂きありがとうございました。 小桃
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます