第3話 母親失格だね……
【母親失格だね……】
第2子を妊娠してからのモモコとは、小さな赤ちゃん人形で一緒に遊んだ。頭を優しく撫でたり、哺乳瓶でミルクをあげたりして、お姉ちゃんになる自覚が芽生えたのかな?
「モモちゃんはお姉ちゃんになるのが嬉しいのかな〜?」
私が話しかけるとモモコは声は出ないけど、満面の笑顔で頷きながら赤ちゃん人形をあやす。そんな微笑ましい毎日を送っていると、私は臨月となり出産する日を迎えた。
そして私は第2子を出産する。
「オギャー、オギャー」
当たり前と思われるかも知れないけど、私は初めて我が子の産声を聞いた時は号泣してしまった。嬉しさと同時にちゃんと産めなかったモモコへの申し訳なさも感じたから……
産まれたのは男の子で、名前はカイトと名付けて、私達は4人家族となって新しい生活を送る事になったの。
「オギャー」
「カイ君どうしたの?オムツかな?」
「オギャー」
「お腹が減ったのかな?」
泣く事で何かあれば教えてくれるカイト、モモコは『チョンチョン』と私に触れて『ニコッ』と笑顔を見せてから、して欲しい事の意思表示をする。当然その時はモモコの相手をしていたけど、遊びに来ていた母から指摘を受けたの。
「マオ、もっとモモちゃんの事を見てあげなあかんよ?」
「見てるよ?」
「全然見れてへん!モモちゃんには触れた時にしか相手してへんよ?私が遊びに来てから、マオからモモちゃんに声を掛けたとこを1回も見てへん」
「それは……」
「大変やと思うけど、モモちゃんに寂しい思いをさせたらアカンよ」
母はそう言ってからモモコに声を掛けて一緒に遊び始めた。
「モモちゃん、ばあばと遊ぶ?」
『ニコッ』
私に触れてから見せる笑顔は、少し気を遣っていたんだと判った。
私は母親失格だ、モモコの事を全然理解してなかった……そう思った瞬間、涙が溢れ出した。
私の異変に気付いたモモコは遊びを中断して、心配そうな顔をしながら手を伸ばして頭を撫でようとしてくれた。
「モモちゃん、ありがとう。ダメなママでごめんね……」
謝りながらモモコを抱きしめると、『チュッ』と頬にキスをした後に『ニコッ』と笑顔を見せてくれた。
モモコは、私が母親としてどれだけ未熟なのかを教えてくれた。
(こんなママの元に生まれてくれてありがとう、モモちゃん愛してるよ)
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