第2話 不安の中の妊娠に……
モモコは変わらず声が出ない。
声が出なくても天使のような笑顔を見れば、声が出ない事なんて私達には問題はなかった。
モモコ抱いて公園へ散歩へ行って、大好きなお友達との交流を楽しんでいた。
周りのママさん達からはいつも同じ言葉をかけられる。
「大変でしょ?頑張ってね」
「声が出ないだけで、どこにも異常はないんですよ。コミュニケーションもちゃんと取れるてるんです」
「モモちゃん、喋れるようになるといいね」
と同情の声をかけられるが、モモコが居るだけで幸せなので、大変だと思った事なんて1度もなかった。気掛かりなのは周りの子供達が喋れるようになって、モモコだけが喋れない事でイジメられないかという事だけ……
良い医師がいると聞けば病院へ出向いて検査をしてもらっていた。
1番に疑われた難聴だったけど、声にちゃんと反応してるので問題なかった。発達障害でも知的障害も検査では全く異常がなかったので、殆どの医師が原因を突き止める事は出来なかった。
そして最後に言われる言葉は全て同じだった。
「何かのタイミングで話せるようになるかも知れませんね。もう暫く様子を見ましょう」
成長志手からの就学の事も色々と調べたが、モモコは声が出ないだけで、健常者と変わらないので特別支援学校へは進めず、通常の学校へ通う事になると言われた。
イジメが心配だと相談しても、役所からの返答はいつも同じだった。
「お母様、気にするのは判りますが、報道されてるようなイジメなんてありませんよ?学校は生徒の事をちゃんと見てるので安心してください」
そんな話を聞かされてる時に私が不安な顔をしていると、天使の笑顔で私を励ましてくれるモモコは、本当に優しい娘だと思う。
就学まではまだ時間があるけど、たくさんの不安を抱えての子育てを勘の鋭いモモコに悟られないとしないとね。
そんな生活を続けてモモコが1歳の誕生日を迎えた。私達夫婦の天使は歩けるまでに成長していたが、変わらず声を発する事はなかった。
そんなある日の事、第2子の妊娠が発覚した。モモコを出産して以降は特に妊活はしてなかったので、こんなに簡単に妊娠するとは思ってもいなかった。
私が喜びと不安を抱いてると、妊娠の事なんて判るはずのないモモコが、私のお腹に手を当てて笑っていたので、思わずモモコに声をかけた。
「モモちゃん、お姉ちゃんになるのが判るの?」
すると『ニコッ』と笑ったのだった。
モモコの笑顔を見て不安はどこかへ飛んでいって、新たな命を授かった事を喜んだの。
(ありがとうモモちゃん、愛してるよ!)
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