娘の声を聞けた日
小桃
第1話 不安を抱えての子育て
結婚して13年が経って待望の子供を授かり、夫婦で喜びを噛みしめ合った。
結婚当初から早く子供が欲しかったけど、なかなか授かる事が出来ずに結婚して10年が経った。
30半ばを越えたところで、不妊の事を医師に相談をしてみると原因は私にあった…愛するヒロ君の子供を産めない事に申し訳なくて、別れを切りだした
「ごめん、ずっと子供が欲しいと言ってたでしょ?私じゃヒロ君の子供を産めないから別れて欲しいの」
「先生は可能性が低いと言っただけで、無理とは言ってないだろ?俺はマオとの子供が欲しいんだ。諦めずに頑張ろうよ」
「ヒロ君、それでも」
私の子供が欲しいと言われて嬉しかった。
それでもヒロ君に別れを告げようとすると、強く抱きしめられ、別れを告げる事が出来なかった。
そこからは不妊治療を開始して妊活に励んだけど、なかなか子供を授かる事はなく2人共が諦めかけた時に、私達夫婦は子供を授かった。
妊娠を機に私は会社を退職して、大事な本当に大事なお腹の子を産む為に、出生前検査で障害もなく性別も女の子だと判った。
妊娠してからはお腹に居る娘中心の生活となり、生まれる前から親バカな2人は、娘の名前も【モモコ】と決めてからは毎日お腹の子供に話し掛けていた。
「モモコ、早く逢いたいよ〜元気で産まれてね」
「モモちゃんと一緒にお出かけしようね〜」
子供を授かった。それだけでも幸せな毎日を過ごしていて、後は規則正しい生活を送って出産の日を迎えたのだった。
そして、モモコの無事に出産をしたけれど産声を聞く事は無かった。原因はハッキリとしなかったが、全ての赤ちゃんが産声をあげる訳ではないと説明を受けて少し安心した。
その後も退院するまでモモコは泣く事がないままだった。色々と検査をしたけど、どこも悪い所はなくそのうち泣くだろうと言われた。
自宅に戻って夫婦2人とモモコという天使との生活が始まって、半年が経過しても声が出る事はなかったけど、泣き笑いの表情はありコミュニケーションは取れていた。
それでも我が娘が声を発しないという事に、大きな不安を抱えての子育てを送っていたの。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます