第2話 ベトナム紀行② 関空にて


11月18日(土)、関空09:20がフライトの時間だ、従弟からは方々2時間前には空港に着くように云われていた。三宮発のバスは6時5分だ、5時10分の電車に乗らなければならない。朝飯を食べる時間もない。そこは用意周到、お握りを作っておいたが、それを入れ忘れてしまった。私は黒いカートを杖替わりに使っている。もう一つ旅行ケースを押すわけにはいかない。出来るだけ荷物を少なくした。カートの枝に布製のバッグを結わえ付けた手荷物だけである。チェックイン、保安検査には列は少なかった。何かお腹に入れておいた方がいいと、コンビニを訊くとワンフロア―下、それも端の方にしかない。手洗いも済ませて置いたほうがいいだろう。私は便秘症だ。その間に長い列が出来てしまっていた。出発時刻が迫って来ている。気が気でない。立っている職員に聞くと、発着前には優先して呼び出しがあると云う。保安検査で検査をもう一度と云われた。筆入れにカッターが入っていたのと、アテンドしてくれる、ヒエンさんのご主人にお土産用の日本酒瓶が引っ掛かったのだ。不眠症の私は、寝る前のアルコールは欠かせない。機内持ち込は可かと検索した。少量(何ミリだったか・・?書き留めておくべし)なら可とあった。後で調べると、機内持ち込みは100ミリまでとあった。と云うことは持ち込めないと同然だ。預け荷物の中なら大丈夫だったのだ。お酒は没収された。私の故郷の酒米を使った山田錦、千円なり。ここでもたもた、添乗員に走ってと声をかけられる始末。朝5時に家を出たのに・・なんで、こんなことになるのか?

 それでも良かったのは、窓際を予約席にしていたのだが、格安ベトジェットの席幅は狭い。カップルに詰めて貰って、通路側に席を取れたことだ。お手洗い等を考えれば絶対通リ側がよい。添乗員のすらりとした足もいい。

 13:05着の筈だ。20分ほど離陸が遅れていたからと思っていたが、14時を過ぎて15時に近いのにまだ付く気配がない。大変に遅れているのだと思ったら、時間が瞬間変わって、着は時間を10分遅れただけだった。時差なのだろうが、あの2時間は何処に行ったのか、実際は4時間45分ほどなのか、2時間+した時間乗っていたのか未だに分からない。

 ともかくハノイのドイバイ空港に着いたのだ。あの爆撃機が飛んでいた空に、平和な飛行機で着いたのだ。そう考えたらジンーンと来て、お酒の没収も、走らされたことも吹っ飛んでいた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る