第41話 魔獣と聖人たち
藤原たちと俺はみんなから離れ、魔獣マーロウと対面していた。
ネネ以外のエドワード班のやつは初めての殺し合いにかなり緊張しているようだ。本当に気まずい雰囲気だ。
俺は気を紛らわせるためにネネに話を振った。
「そ、そういえばなんかクラスメイト随分人数減った気がするんだけど気のせい?」
「何人か冷静に現実を受け止めて、別の居場所を見つけようとどっか行ったわ。」
まぁ、無理もない。愛する家族にも会えないどころか、帰るには殺し合いをしないといけないと強制されているのだから。
「小次郎が人のこと構うなんて珍しいわね笑」
「ま、そういうこともあるよ笑 てっきりみんなとっくに受け入れてるのかと思った、。現代社会の若者はフィクションに囲まれてきてるから乗り気になるのも早いもんだと…。そういえば|秤谷(かりや)もどっか行ったのか?」
「誰よそれ?!」
「|秤谷(かりや)|璻(すい)だよ。たしかに、たまにしか学校来てなかったけど笑」
「あー、あの白い男ね笑 彼ならすごい名家に養子に入ったそうよ。」
秤谷は同じクラスのアルビノの男子だ。俺ともう1人の3人でよくオンラインゲームで遊んでいた。まあ3人とも陰キャではあったが、彼がそうなったのは見た目のことで周りの見る目が変わったからだ。
養子になったなんてビックリだ。なぜだろう。彼の親はやり手の弁護士らしいが、そんなに親子感の仲が悪いとは思ってなかった。
まだ藤原は気難しい剣幕を垂れていやがる。
「かなりあいつ実力差あるっぽいけど、級長さんはどうする気なんだ?ww」
「お前は下がっていろ。俺たちでやる。俺たちのチームワークならかてるさ。」
「さ、それはどうかなw」
少し下がってお手並み拝見といこう。
「そんなこと言うけど力也、何か策はあるんだろうな?あいつ到底適う相手じゃないぞ」
「あぁ、俺とネネのスキルは|聖なる(ホーリー)スキルだ。魔王に対抗できるってことはあいつにも適うかもしれない。作戦を伝えるからよく聞いてくれ。」
藤原は小声でネネと平木と岸田の3人に話した。
「行くぞ!」
「…ネネ、これが終わったら一緒に夕食でも行かないか?」
「死ななかったら考えておくわ。」
藤原の誘いをネネが軽くあしらわれている。
くだらない話をしている間にもマーロウは周囲を爆破している。
「おい!それいちいちうるせえんだよ!どっか行ってくんねえか?近所迷惑だぞ?頭固くて気付いてないだろw」
「私の本来の目的はその近所も全て爆破すること。どこかに行くならそっちにしなさい。邪魔をするのであれば排除します。」
「やっぱり固いじゃんw 俺の剣で脳みそ掻き乱してやるよww」
岸田の煽りは全く通じてないようだ。
「|疾風朱楼斬(エアストスラッシュ)!」
岸田が風魔法の斬撃をマーロウに繰り出した。
「相手をして差し上げましょう。|爆砕妖壊絶(ブラストビート)!」
高出力の爆発の魔法で相殺した。風魔法は通常なら炎魔法と相性最悪だが、マーロウは出力で無理やり押し切った。
「どうなっていやがるんだお前の魔法!最高だなぁ!!」
不思議と岸田がワクワクしているように見える。
「そっちが空中戦ならこっちもだ!」
彼はさっき出した風魔法の斬撃を地面に撃ち飛んだところで、またあの風魔法の斬撃で軌道を変えて空中戦に持ち込んだ。
岸田は得意の剣術で近接戦に持ち込んだ。
「空中に浮いてるってことは、自分が自分の爆発に巻き込まれてることを恐れてるんだろ?つまり自分自身はそこまで固くないはz…?!」
彼が刃をマーロウの脇腹に刺した瞬間、鋼のような硬い音がした。
「さてはあなた、俗に言う愚か者というやつですね。宙に浮いているのは的をよく見られるようにするためです。体が爆発に耐えられる以上に硬いのは当たり前でしょう。」
「鋼鉄の体の防御にこの破壊力の魔法…楽しくなってきたなぁ!」
「鋼鉄の体なら、最高の盾にもなりますが、同時に最高の矛にもなりうるのですよ。」
マーロウは素手で岸田に腹パンをくらわせた。
「ぐはっ!」
結構効いているようだ。血反吐を吐いている。
「もう一度食らったら終わり…上等じゃねえか!」
岸田が交戦している間、ネネと藤原と平木は準備を進めていた。
「もう限界だ…」
「レオ!今だ!」
「待ってたぜぇ!」
藤原の合図と同時に岸田が飛ぶのをやめ、平木と藤原が一瞬でマーロウの背後に回った。
「死ね!魔獣!」
「喰らいなさい!」
「「|聖なる(ホーリー) |天脊虹橋(アルカンシエル)!」」
藤原は至近距離で、ネネは地上から同時に溜め続けていた同じ攻撃魔法を放った。
「なるほど。では火力勝負と行きましょう。私も本気の出力でお相手いたします。|爆砕妖壊絶(ブラストビート)!」
2人の攻撃魔法と同時にマーロウも爆発の魔法を放つ。これまでとは比べ物にならない出力だ。
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