第21話 マーガレットと半魚人

マーガレットは洞窟の前で半魚人のニューアンチテールズ、とサシで戦っていた



「君、メインスキルないんだろう?ここじゃ珍しくない。古式魔法で一番得意な属性はなんだ?」

「…一番は水です。」

この人はまるで全部分かっていたように当ててきた。

「じゃあ残念だったな。俺のメインスキル|焔油士(グリーサー)は疎水性の高い油を操るって魔法だ。そして、油なら引火性も高い!|油香大散弾(グリースバレット)!」

彼は散弾銃のように手から油を飛ばした。

「|青翠ノ障壁(サファイアウォール)!」

水魔法で障壁を作り油を防御したが簡単に貫通してしまった。必死に両腕で防いだ。

「くっ…やってくれましたね、。」

「言い忘れてたけど、その油は俺の意思で酸化のスピードを調節できる。つまりこういうことだ!」

みるみる油のかかった皮膚が溶けてきた。尋常じゃないスピードで溶けていることが痛みと腕を見てわかる。

「|自動回復(オートヒール)!」

回復に魔力を回している分かなり魔力の消費が激しい。すぐに決着を着けいないとまずいことになる。まだ戦い始めたばかりなのに消耗戦に持ち込まれてしまった。


「それで終わりか?俺はこの魔法以外はめっぽうできない。古式魔法もマッチ一本くらいの小さな火柱しか出せない。でもこのスキルがあれば!|油豪咆哮(オイラーブラスト)!」

指先に小さな火柱を立てて口から大量の油を吐いた。油が引火して大きな炎になった。

必死に避けても防ぎきれない。


マーガレットは洞窟の前で半魚人とサシで戦っていた


「お前中々の手練れだな?そこまでの実力なのに俺が知らないはずがない…」

「私はまだ未成年なので、軍にはまだいないんですよ。今年試験を受けようと思ってたんですけど、あなたみたいなクズ男が多いのなら嫌ですね」

「言うねぇ!俺と2、3歳しか変わらないだろうに笑」

アルフォースは見下したように言った。

「私も聞いたことありますよ。あなた、狐火の使者ですよね?てっきり私、狐の獣人だと思いましたよ笑」

「よく言われるよ笑 この赤い肌でそう言われるようになって、気づけば本名より二つ名の方が知られるようになってしまったよ笑」


「君、メインスキルないんだろう?ここじゃ珍しくない。古式魔法で一番得意な属性はなんだ?」

「…一番は水です。」

この人はまるで全部分かっていたように当ててきた。

「じゃあ残念だったな。俺のメインスキル|焔油士(グリーサー)は疎水性の高い油を操るって魔法だ。そして、油なら引火性も高い!|油香大散弾(グリースバレット)!」

彼は散弾銃のように手から油を飛ばした。

「|青翠ノ障壁(サファイアウォール)!」

水魔法で障壁を作り油を防御したが簡単に貫通してしまった。必死に両腕で防いだ。

「くっ…やってくれましたね、。」

「言い忘れてたけど、その油は俺の意思で酸化のスピードを調節できる。つまりこういうことだ!」

みるみる油のかかった皮膚が溶けてきた。尋常じゃないスピードで溶けていることが痛みと腕を見てわかる。

「|自動回復(オートヒール)!」

回復に魔力を回している分かなり魔力の消費が激しい。すぐに決着を着けいないとまずいことになる。まだ戦い始めたばかりなのに消耗戦に持ち込まれてしまった。


「それで終わりか?俺はこの魔法以外はめっぽうできない。古式魔法もマッチ一本くらいの小さな火柱しか出せない。でもこのスキルがあれば!|油豪咆哮(オイラーブラスト)!」

指先に小さな火柱を立てて口から大量の油を吐いた。油が引火して大きな炎になった。

必死に避けても防ぎきれない。


『マーガレット、必死に考えるんだよ。魔法による戦闘において最も重要な要素は2つ。魂の強さである魔力と、そして解釈。その魔法を反芻し、十分に咀嚼する。理解を深めることでさらに強くすることも対応することもできるんだ。一昔前は古式魔法が主流だったが今は固有スキルが強いのもそれが大元さ。』

里で伝説の導師と謳われた孤児院のおばあちゃんの言葉を思い出した。生まれつきメインスキルがなかった自分にかけてくれた言葉だ。

「考えなきゃ…!この魔法をもっと!」

マーガレットは小声で呟いた。


「|魂纏結界(こんてんけっかい)!!」

自分の体に薄い結界を膜のように張った。


通常、結界は座標を決めてそこに壁を作るような形で空間を分断する。だがこの結界は分断はせずに魔法だけを付与するためにある。それ故に通常より強度が高いが精密な操作が必要で長

時間使うには難しいものだった。

「戦いは既に消耗戦に変わってるんだぜ?そんなことしていいのかよ笑」

「我流魔法!闇光孔鏡引斥(クレーターリバーサル)!」

光魔法と闇魔法の複合魔法を纏った結界に付与して白と黒の禍々しいオーラを纏った。


「なんだその魔法は…?!光魔法と闇魔法を合わせただと!?そんなの聞いたことないぞ!第一、陰陽の属性なんて限られた極わずかの者しか使えないはず…!」

アルフォースは少し取り乱したように言った。

「実は、嘘をついたんです。私の得意な属性は光と闇で、水はどちらかというと苦手な部類ですね、」

魂纏結界の吸収の対象を炎に絞ることでさらに性能を高めた。

「…だからってそんな若さで使えるような代物じゃない!|焔油狐郡泳(フォックスバーン)!」

炎と油を使って6体の炎の狐を出し一直線にマーガレットを襲った。

マーガレットはすかさず手をかざし、6体の狐を黒いオーラで包み込み、吸収した。


「お前!なにをした!」

「この魔法は闇の引力と光の斥力を利用して吸収し相手に放つ魔法です。そしてあなたのこの油と炎であなた自身を殺してみせます。|焔油狐郡泳(フォックスバーン)!」

相手の出してきた4体の炎の狐を一気に放った。

「ぐぁぁあ!」

「やっぱり自分はかなり炎が効くようですね。」

そして、懐からばあちゃんから貰い受けた槍を取り出し、光魔法で狐の一体を取り出して槍に無理やり纏わせた。

「私、体術にも自信はあるんです。」

「奇遇だな。俺もだ!」

ヤツの拳とマーガレットの槍の近接戦闘が始まった。

相手は拳法のような独特の体術使いのようだが、槍と素手じゃ間合いに違いがありすぎる。こちらが有利なはずだがヤツの近接戦闘術が凄すぎる。


槍を大きく振りかぶって攻撃したが頬に傷ができる程度で避けられてしまった。

懐が空いてしまい、腹に手が触れてしまった。

「|油香大爆閃(グリースボミング)!」

アルフォースは手のひらから油で強力になった爆発が起きた。魂纏結界のおかげで爆発のダメージは無かったが爆風で距離がかなり空いた。


マーガレットの方は無傷だがアルフォースはかなり火傷を負っている。

「やっぱり、油の火を使えても自分は火には弱いんですね。攻撃がかなり効いていますよ?」

「…その通りだが、俺の得意属性は本来は水。魚人族から古来から伝わる古式魔法の一種、|波廻流拳(かいりゅうけん)は水流を己の身体の一部のように操り戦うことができる特殊な魔法拳法!俺の水流でお前をぶっ殺してやる…!!」

「だからなんだっていうんですか?私の槍術は、伝説のホーリー導師様直伝です。」

「あの導師様が師匠とは…道理で手ごわいわけだッ!」


「|波廻流拳(かいりゅうけん)奥義!瀑布時雨、|油豪咆哮(オイラーブラスト)合技!|雨流聖香油(オレウムサンクタム)!」

油を自分のスキルで放ち、拳法で正拳突きをして水魔法を発動することで芯に強力な酸の油がある水弾になった。

「あなたがその気ならッ!|八六光槍(ヘイローランス)!」

マーガレットは槍の炎光を光魔法でさらに強化してアルフォースに投げた。槍の軌道に光の道が眩しく光る。

「俺のこの魔法は俺が今出せる最高出力。その結界魔法はお前の闇魔法の許容量までしか吸収できない!つまりこの魔法はお前のその結界もぶっ壊して直接届く!!」

アルフォースが撃った魔法はマーガレットの槍撃と魂纏結界を跳ね除けて直接届いてしまった。


「勝った!残念だったなぁ!結局努力した奴が勝つんだよ!!!」

「…あなたは二つ、勘違いをしています。一つは私が結界を1つしか張っていないと思っていること。私が放った槍は魔法で作られているわけではないため壊されずにそこに落ちています。そしてその落ちた場所はさっき私が結界を張った場所です。結界の条件は再び|八六光槍(ヘイローランス)を放つこと。」

落ちている槍の地面から結界の魔法陣が現れ光りだした。

「馬鹿な…お前のさっきの槍撃は俺の|焔油狐郡泳(フォックスバーン)の一体を使って強化されているはずだ!」

「そしてもう一つあなたが勘違いしたことは、まだ私が一体狐を隠し持っていたことです。」

槍の先に炎の狐が纏われ、再び|焔油狐郡泳(フォックスバーン)がアルフォースに放たれた。

「く、くっそおお!水紋六花!」

必死に右腕で|波廻流拳(かいりゅうけん)防御技で目の前に水の防壁を作り防ごうとしたが、光と炎の槍が防壁を貫いてアルフォースの心臓を貫いた。


アルフォースは胸に穴を開けたまま仰向けに倒れた。

「最大出力の魔法を使ったがために魔力が足りなかったようですね。」

けがを負ったマーガレットはびっこを引きながら、アルフォースのところに歩み寄った。

「俺は…負けたんだな。必死に努力したのに…。俺たち半人間族はどちらの種族からも馴染めず迫害されてきた。小さいころに石を投げられている俺を拾ってくれたゼラさんに報いるために、必死に努力してきたのに…」

「たしかに、あなたの努力は素晴らしいです。ですが努力をした者が勝つのではなく、諦めなかった者が勝つのです。」

「なるほどな笑 死ぬのに今更学んでも仕方ないか……また、諦めちまうところだったよ笑」

二人は少し笑いあった。

「行く前に教えてくれ。名前、なんて言うんだ?」

「マーガレットです。」

「絶対に忘れねぇからな?笑 彼氏救ってこいよ!」

「か、か、彼氏じゃありません!!」

マーガレットは顔を赤らめてアルフォースに言った。


回復に魔力を使いつつ、そのままマーガレットは洞窟の奥に進んだが、魔力はとうに半分を切っていた。

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