第7話 巨大な世界

「こちらバーバラ・ゲーズ・クルクマーです。侵入者を確保、直ちにそちらに向かいます。」

誰かと無線のように話している。

「バーバラさん?あなた相当強いですよね。」

彼女から凄まじい魔力を感じる。


「この手錠は…外してくれませんよね、バーバラさん」

「当たり前でしょ?!なに考えてるのよ!」

砂漠で手と足を拘束されながら武装した180cmのバイキングの格好をした美女に連れられてる異様な光景に違和感を感じている。


「こりゃあいつらが見たら勘違いされそうだな」

俺はバーバラに聞こえないように小声で呟いた。


しばらく歩いたあと、大きな針葉樹の森に着いた。1本の木が45mくらいで、飛行機の全長くらい大きい。森の中には5〜13mほどの大きな巨人がたくさんいた。巨大な木をくり抜いた家がたくさんあり、そこから巨人たちが出入りしていた。


「どいつもこいつも、3階建てくらい大きいな…。それ以上に普通の木がデカすぎる。」

「あら、あまり驚かないのね。」

「来る前にもっとデカい樹木を見たからな。切り株だけで九州くらいの大きさはありそうな、」

「キュウシュウ?それはなに?」

「それよりなんで俺たちに見向きもしないんだ?俺たち小さすぎて見えないほどの大きさでもないだろ?」

「巨人族はこの世界で最も荒れた戦闘民族よ?拘束具をつけたやつとか武装した女なんて日常的なの。」

「そりゃ凄い…。」


俺たちは数時間歩き、ようやくヴァイキング風の古城に辿り着いた。バーバラは全く疲れていないが、俺は息切れが激しかった。

「よく疲れないな。というか、最初の瞬間移動でここまで行けなかったのか?」

「そうしたらあなた細切れになると思うわよ!」


門を抜けると一段がとてつもなく高い階段が何段も果てしなく続いていた。

「…1回瞬間移動試してみないか?それとも本気でここを自力で登るか?」

「はぁ、分かったわ。肩に捕まって!」

2人の足元の地面に魔法陣が出てきて瞬間移動した。移動した先は大きな扉の前だった。


バーバラは扉の前に立ち、手をかざして魔力を出すと扉が開いた。

「押し戸でほんとに良かった。」


中に入るととてつもなく大きな巨人が現れた。上すぎてよく見えないが多分髭面で王冠を被っている。

「でデケェ…うちのビルくらいはあるな。もしかしてこのお方って、」

「このお方がユグドラシル一帯を治める皇帝スリームル様だ!」


「よくやったバーバラ。2人とも話しにくかろうに。少し待っておれ!」

普通の話し声のつもりだろうが、とてつもない声量だ。


スリームル様が手を上にあげ、魔法陣を作りそれを体全体に通した。すると通ったところから小さくなり俺とそこまで変わらない身長になった。

「そ、そんなことできるんですか?!すげぇ…」


「して君はもしや、吉川小次郎くんだね。私も話は聞いてるよ、酷い目にあったね。」

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