第三羽「それぞれの夢」

「あのさ、フェリテ」

「なあに?」

「私のつばさ、いつまでにぎってるの?」

「あっ、ごめん」

フェリテはすぐに手をはなした。

「もしかしていやだった?」

「そうじゃないけど、不思議に思ったの」

私が言うと、フェリテは小さく首をかしげた。

「なんで?」

「だって私達ハルピュイアって他の種族からはきらわれてるから」

「そうなんだ。じゃあロンディは他の種族のこと嫌い?」

私は首を横にる。

「ううん。むしろ仲良くなりたい」

「じゃあぼくとも仲良くしてくれる?」

答えは決まっていた。

「もちろん」

フェリテはさっきより一段と笑顔になった。

「やった!初めてのお友達だ!」

その言葉に私はきゅっと心がめつけられる心地がした。

私が初めての友達ってことは、フェリテには今まで友達が一人もいなかったってことだから。

大丈夫だいじょうぶ?」

いつの間にかフェリテが心配そうな顔をしている。私は急いで笑顔を作った。

「大丈夫!これからいっぱい仲良くしようね!」

「うん!」

フェリテも笑顔になってくれたので安心する。

私には他にも友達がいるなんて絶対に言えない。きっと傷つけてしまうから。

「ねえ、フェリテ」

私はこんなことを口走っていた。

「私と一緒いっしょに空飛んでみない?」

フェリテは目を丸くしてさけんだ。

「良いの!?」

「もちろん。友達になってくれたお礼だよ」

「わあ、ありがとうロンディ!」

「お礼を言うのはまだ早いよ。まだ何もしてないもん」

私は照れくさくなってそっぽを向いた。なんだかいつもとちがう感じがする。他の種族からお礼を言われるのが初めてだからかな。

「じゃあ、いくね」

私は翼を広げ、足で地面をった。

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