恐怖のギロチン回避！ 皇太子との婚約は妹に譲ります〜 え？ 私のことはお気になさらずに

第15話

　カサンドラ達は荷馬車を預かり所で預けて、ララサ街の冒険者ギルドに来ていた。

　いまからギルドの受け付けで、名前と丸い水晶に手をかざして能力を測り。登録料をカーシンの通貨トゥンで支払ったら、カサンドラとシュシュは冒険者の仲間入りだ。

　アオ君の案内で着いたララサ街の冒険者ギルドは、木造と煉瓦の大きな建物。ギルドの中は人、亜人の冒険者で溢れていた。

　鎧、ローブばかりのその場に。冒険者とは程遠いワンピース姿のカサンドラ姿と、メイド服のシュシュが現れたからか、周りがざわつき始める。

　そして、冒険者の陰口がカサンドラに聞こえた。

（まぁこんな服で来るな、ですって？）

　ほかにも「舐めてるのか」「お嬢様の遊び場じゃない」とか、ヒソヒソ話が聞こえるけど気にしない。カサンドラだって、登録が済めば貴方達と同じ冒険者なのだから。

　先に冒険者ギルドの受け付けに行っていた、アオがカサンドラとシュシュを呼んだ。

「こっち、こっち。ドラ、シュシュ、ここの受け付けで登録してくれ」

「わかったわ。ねぇシュシュ、私達はこれから冒険者になるの。ギルドカードを作ったら、冒険用の服を買いに行きましょう」

「はい、ドラお嬢様」

　前世は醜い嫉妬で、カサンドラは十八歳のときに死んでしまった。大聖女マリアンヌ様の施しで時間が巻き戻り、カサンドラは生まれ変わった。――今度は長く、たくましく、楽しく生きたい。

　まず、これが第一歩目。

「この登録書に名前と血判をおして、冒険者の心得をしっかり読んでください」

　ギルドの受付嬢が登録の紙を出して、詳しく説明してくれた。冒険者の心得。

　その1、一月に一回討伐か採取のクエストをクリアするとこ。

　その2、冒険者ランクの高い冒険者は、ギルドからの緊急収集を断れない。

　その3、モンスターの素材はギルドか、ギルドが決めた買取店でしか売らない。

　その4、冒険でモンスターと戦い、命を失ってもギルドは一切の責任はとらない。

　その5、怪我などの治療費も自己負担。

　あたりまえなこと、みずから選んで冒険者になるのだ。

（えっと。この欄に名前を書いて、隣のこの針で親指をさして血判を紙に押す。登録用紙を受付に渡して、最後に水晶玉をさわるのね）

　数分後。カサンドラとシュシュのギルドカードが出来上がった。アオ君と待ち合わせ場所にした、初級クエストボードの前に移動してシュシュと待っていた。

　アオ君は多くの冒険者たちが集まる、巨大なクエストボードの下にいた。カサンドラ達が初級クエストボードの前にいるのを見つけると、2人の場所へと走っていった。

「ドラ、シュシュ、ギルドカードが出来たのか？」

「はい、カードができましたわ」

「はい、出来ました」

「よし、次にそのカードを持って『ステータスオープン』と唱えるんだ」

「カードを持って「ステータスオープン？」　まあっ、目の前に四角い板が現れましたわ⁉︎」

「お嬢様、私の前にも現れました！」

　その板には。

　名前　カサンドラ・マドレーヌ　十八歳。

　職業　公爵令嬢

　レベル　1

　体力　50

　魔力　150

　攻撃力　10

　防御力　10

　俊敏力　5

　スキル　水　氷　風　属性。回復魔法　調理　生活魔法　シシン語　リン語　サーロン語　新アマラン語　古代アマラン語、

　固有スキル　薬草調合

　と書いてあった。

「レベル1？　薬草調合？　何かは、わからないけど……面白そうなスキルね。シュシュは？」

「ステータスというのは、お嬢様とあまり変わりませんが。生活魔法、編み物　縫い物　固有スキルは調理でした」

「シュシュ、私にも調理スキルがあるから、一緒に調理ができるわね」

　シュシュと冒険から帰ったら、ほうれん草とベーコンのキッシュを作ろうと話した。

　隣で、二人のステータスを見ていたアオ君は。

「へぇ、ドラとシュシュ、中々いいスキル持ってるな。薬草調合スキルは冒険者にとっていいスキルだし。シュシュのメイド特有のスキルは長旅にも使える」

「長旅ですか？」

「あぁ近くに街がなく外で野宿になった時とか、あまり衛生面の良くない宿に当たった時に、生活魔法があるとないとでは変わる」

「そうなのね、シュシュ、生活魔法は冒険に使えるって、覚えてよかったわ」

「はい、お嬢様」

　――いつか、みんなで古代アマラン魔法都市と、長旅に行きたい。

「ドラ、シュシュ、採取クエストを受けて、必要なものを買いに道具屋に行こうか」

「えぇ、いきましょう！」

「はい、行きましょう」

　ギルドを後にして、街にある道具屋へと移動した。