第4話 案の定モテモテでした

「……いまさら自己紹介するのもな…名前、知ってるんでしょ?だったら別にしなくてない?」


「うん。じゃあ僕から見た君のプロフィールを簡単に言うよ。語弊があったら言って」


「わかった」


「栗本まゆり、17歳。誕生日は12月25日で好きな食べ物はとうもろこし、嫌いな食べ物は辛いもの全般。趣味は絵を描く事、編み物。……こんな感じ?」


「え、めっちゃ知られてるじゃん。ていうか、とうもろこし好きなのお母さんにしか言ってない気がするんだけど」


学校や他の場所では、自己紹介する際クリームシチューを好物として言っている……。とうもろこしだと、寿司やカレー、ラーメンなどメインとなる料理が挙げられる中で浮いてしまう気がしたから。

コーン料理ではなく、ただ湯掻いてそのままかぶりつくのが好きなのだ。


「まあ、君が生まれてから今までほぼ毎日見てたからね」


「えっ!?そんなに見てたの!?……てっきり数週間くらいかと……」


じゃあ今まで私のありとあらゆるところを見てきた訳か……。

ふと、疑問がひとつ浮かんだ。


「死神って透明になれるじゃん?ってことは入浴中とか普通に見れるってこと?!」


「うん、まあそうだね。実際に女湯とかたまにいるしね」


……それを知ってるってことはライアーも女湯入ったんだ。死神も煩悩とかあるんだね。これ以上は言及しないでおこう。


「透明にならなくても、ほとんどの死神は人からしたら見れないから普通にうろついてるけどね。

あ、言うの忘れてたけど人が死神を見るための条件が3つ存在するんだ。あくまで僕の憶測だけどね」


その曖昧そうな条件とやらを聞くと、"1つ目は死神が最低でもその人を1年見ている。2つ目はその人自身が霊感を持っている。3つ目は、生より死を望んでいること" らしい。


「1の条件はー『毎日』って言っても死神の視界に一瞬でも入れば『見た』とカウントされると思う。でも稀に例外の死神もいたりするよ」


ふーん、なるほどねと返しながらライアーの手……手袋を見る。結構大きいけど指はすごく細い。……え、よく見ると左手の薬指に真紅の小さな宝石が付いた指輪をはめている。


「え、死神の世界でも結婚とかあるの?まさかの既婚者……?」


「ふははっ!あ〜なるほどね。この指輪から判断したわけか。既婚者じゃないし、死神は結婚できないよ。

……この指輪は君が生まれる1年前くらいに未亡人からくれた指輪で、僕に魂を食われる前に泣きながら渡してきたんだよね〜。 今までもそういうことあったから断ろうと思ったんだけど、結構綺麗だったからもらった!」


サラッと人の魂を食べることを話していることから、死神からしたら人はただの食料でしかないんだと感じた。 人が牛肉や豚肉を食べるような感覚なんだろう。


「ライアーはよく人から何か貰うの?」


「うん。気に入ったものだけ貰ってるよ。……例えば、この三角のピンバッジとか、黒のニットに……ピアスとかブーツとか」


「結構もらってるね」


「大体なんかわざわざ女性が買ってきてくれるね。

……あ、危ない、危ない。言うの忘れてた。

…… 僕の肌に絶対触れないでね。死ぬから。


数十年前に女性が突然、僕に近づいて来たかと思ったら服脱がされそうになって、僕のお腹ら辺に触れたら即死したのを思い出したよ今」


……なんかどっちも可哀想……。


「にしても、やっぱりイケメンだからモテモテだね。」


「うーん、まぁ依存させてるから大抵はそんな感じになっちゃうのかな。僕は顔よりも魂だけどね」


……ライアーがもし人間だったら、バレンタインの時チョコレート何個貰うんだろ。絶対その中にまつ毛入りのヤバそうなチョコとか1つくらいありそう。偏見しかないけど。


「……ん?人が死神に触れたら死ぬんだよね?」


「……そうだけど?」


「……セクハラしていい?」


「だめ。まだ煮込み中だから」


人をスープ煮込むみたいに言わないでくれ

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