第11話:裸のサクラ ♥♥
「よく描けてるわね。……で、これは事前なの、事後なの?」
日曜、今日も俺はアオイの部屋にいた。《裸のサクラ》のデッサンを見た彼女はそう訪ねてきた。
「どっちにしてもヤった前提かよ」
「裸にしておいて手も出せないようなヘタレだとは思ってないからね」
「……事後だよ」
服を脱がせるところまでは俺がリードしていたのだが、気がついたらベッドで仰向けに寝かされて搾り取られてしまった。まあ、このあたりの詳細は聞かれなければ答える必要はないか。
「ところで、あそこはツルツルじゃなかったの?」
「ああ、俺が描き足しておいた」
西洋絵画では、一般的に女性器は描かない。《裸のマハ》は、陰毛の描写があることが当時としてセンセーショナルだったという。後の時代で言えばドミニク・アングルの《泉》のように、股間に何も描かないという例すらある。いずれにせよ、伝統的な西洋絵画では剥き出しの女性器を描くことはしないと思う。
「ねえ、私もツルツルにしてほしいとか思う?」
「俺の好みでは断然あったほうがいい」
これは即答である。
「へえ、どうして?」
「例えるなら髪の毛と一緒だな。艷やかな陰毛はそれだけで色っぽい。それに、程よく隠れるのが慎ましくていいじゃないか」
「なかなかフェティッシュだねぇ。でも、アキの好みがわかってよかったかも」
ネットの画像を見る限り、現代では下の毛を処理してしまう女性が多いように思う。もっとも自ら撮影して公開するという時点で特殊な母集団だとは思うのだが、かつてよりも除毛のハードルが低くなっているのは間違いないようだ。電車の中でさえその手の広告はよく見る。
「わかった。なるべくナチュラルにしておくね。さすがに下着や水着からはみ出したりするのはみっともないから手入れはするけど」
そういえば、陰毛はさておき脇毛についてはアオイもしっかり処理しているようだった。俺は自分のムダ毛なんて全く気にしていなかったのだが、少し清潔感を意識するようにしようかと思った。
*
「ところで、全身像とは別におっぱいも描いたのね」
「ああ、本人も認めるいい形だったからな」
上半身を起こした状態と、仰向けに寝た状態で、それぞれ真横からスケッチした。彼女の乳房が一番美しく見える角度だ。
「これに比べたら、私のおっぱいなんて小さいし、乳首もレーズンみたいだし」
「俺は好きだけどな。まず全体のプロポーションのバランスはアオイのほうがずっといい」
サクラは胸は素晴らしいのだが、下半身のボリュームはまだまだである。特に斜め後ろから見ると、胸の大きさに対して尻の薄さがどうしてもアンバランスだ。
「それに、ツンと主張した乳首も好きだぞ」
「あっ、いきなりやめてよぉ」
俺は後ろから抱きついてシャツとキャミを脱がせる。アオイは乳輪が非常に小さく、真横から見ても乳房から直接乳首が飛び出しているように見える。シルエットとして見た時にはメリハリがあって美しいだろう。
「今日はお尻を描いてもらうつもりだったけど、おっぱいにする?」
「そうだな。同じ構図で描いてみたくなった」
「でもその前に……」
アオイは俺の上半身を脱がして、抱きついてきた。
「サクラちゃんと同じことしてあげる。何されたの?」
「やっぱり、気になるのか?」
そして俺は仰向けにベッドに横たわり、下を脱いだ。
**
「騎乗位、難しい……」
「体幹とかバランス感覚とかも必要だからな。無理しなくてよかったのに」
腰使い以前の問題として、まず体勢を維持するのも難しいようだった。そもそも昔から、アオイの運動神経は全体的によくない。持久走だけは平均よりややマシという程度だ(これは貧乳の強みだと本人も言っていた気がする)。
「でも悔しいなぁ。あの子にできて私にできないなんて。パイズリとかなら諦めもつくのに」
「こればっかりは向き不向きもあるし、お互いの相性ってのもあるだろうからなぁ」
あくまでも二人を比較した限りでは、アオイの女性器は「上付き」なのに対してサクラは「下付き」である。後背位はもちろん、のけぞるような騎乗位はサクラの体だからこそ上手くいくのかも知れない。
「まあいいわ。気を取り直してデッサンしてよ。仰向けからでいい?」
「ああ、頼む」
ベッドに横たわらせて、真横から乳房を見る。
「やっぱり仰向けだと余計に小さく見えるよね」
「その分、乳首が強調されるけどな」
なだらかな丘陵の上にぷっくりと顔を出す乳首。右の乳首は中央が少しだけ凹んでいるのに対して、左側は美しい半球状だ。
「サクラちゃんも左側から描いたでしょ。やっぱり、おっぱいって左のほうがきれいなのかな」
「そういえば、そうかもな」
乳房の大きさもそうなのだが、心臓を守るために左のほうが発達するという話を聞いたことがある。
*
「アオイの胸は寝かせるよりも起きた状態で見たほうがいいな。はっきり上向きだってわかるし」
今度は椅子に座ってもらって、上体をまっすぐ伸ばした状態で真横からデッサンする。
「アキもそう思う? 新しいブラを買ってから横から見た姿を意識することが増えたんだけど、私の胸って結構いい形してるよね」
「俺の手のひらにもぴったりのサイズだしな」
「もう。でも、なんだか嬉しい」
くすりと笑って体が震え、可愛い胸がぷるんと揺れた。
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