第10話:頂き  ♥♥

「前回が《着衣のサクラ》だから、今回は《裸のサクラ》を期待していいんだよね?」


 部屋に招いたアキ先輩は、いきなり私にヌードになることを求めた。いや、あくまでも「期待している」ということだが、有無を言わせない圧力があった。もちろん私も脱ぐつもりでいたのだが、先輩に主導権を握られるとは思わなかった。


「え……はい。先輩がお望みであれば」


 私は先週と同じく、白いワンピース姿で出迎えた。ここから裸になっていく予行練習までしたのに、体が動かない。ベッドにはタオルを敷いて、セックスまでする気も満々だったのに。


 先輩がワンピのボタンに手をかける。私がうなづくと、無言で外していく。脱がせた服は丁寧に畳んで椅子の上に置いてくれた。ああ、女の子が脱ぎ散らかすのを嫌がることをちゃんとわかっている。このあたりは元々マナーが良いのか、それともアオイ先輩にしつけられたのだろうか。


「この下着、アオイと同じ店で選んだの?」

「はい、どうですか?」

「よく似合っていると思うよ」

「ありがとうございます。気に入ってるんですよ」


 私はくるりと一回転してアピールする。少しペースを取り戻せてきた。先輩の視線が私のお尻に行ったのも見逃さない。ここは焦らしてみよう。私は改めて正面を向く。


「でも、先輩が描きたいのは裸なんですよね」

「ああ」


 私が一歩踏み出すと、先輩は右手を私の背中に伸ばして、スムーズにホックを外す。これ、絶対アオイ先輩で練習したやつだ! そしてブラを抜き取る時、さりげなく、しかし間違いなく狙って乳首に触れた。私をただのモデルで終わらせるつもりはないようだ。


「ねえ。私のおっぱい、どうですか?」

「大きい」

「語彙力!」


 思わず突っ込んでしまった。


「ごめん、真面目に評価してみる。そうだな……乳首が比較的小さくて、そのかわり乳輪はずいぶん大きいかな。全体としてはぷっくりした印象だ。乳房全体も含めて、なだらかな山のようになっているというか。美しいよ」


 比較対象はやはりアオイ先輩なのだろうか。もちろんAV女優などのヌードと比べているのかも知れないが。


「ありがとうございます。私のおっぱいが一番きれいに見える角度があるんですけど」


 そう言って、私はベッドに仰向けで横たわる。


「ねえ先輩、目線を下げて真横から見てください」

「……見事な山だな」

「ですよね! 昔、宗左近そうさこんっていう詩人が少女の乳首を富士山に例えたという話を聞いて、そのとき気持ち悪いと思ったんですけど、ある時気づいたんですよ。今の私がそれだって」


 私は先輩の指をとって、胸元、つまり「麓」に誘導する。


「登頂、してみます?」


 そして先輩の人差し指と中指を起こして二本脚に見立て、あとは先輩に委ねる。二本の指は乳房山を一歩ずつ登り、やがて「山頂」で足踏みをした。そして先輩は私に覆いかぶさり、両手を使って二つの頂きを蹂躙した。


「先輩、絵はどうしたんですか?」

「……誘ってきたのが悪い」

「後輩に手を出すなんていけない先輩ですね。お仕置きしてあげなきゃ♪」


 ここからは、私の世界だ。アオイ先輩には悪いけど、たっぷり楽しませてもらおう。


 **


「いかがでしたか? アオイ先輩と比べて」

「……騎乗位は初めてだったから、なんとも言えないな」

「先輩の初めて、一つもらっちゃいましたね♪ でも、すごく気持ちよさそうでしたよ」

「まあ、見ての通り」


 照れくさそうに笑う先輩のそばにはゴムの袋が2つ。私は先輩をたて続けに2回もイかせたのだ。慣れない腰使いで必死に私のことを突き上げる顔が最高で、私も大サービスしてしまった。


「汚れちゃったし、シャワー浴びましょうか」

「そうだな」


 私は先導して風呂場へ向かう。先輩の視線が、私の裸のお尻に刺さるのを感じる。


「先輩、背中流してください」


 ボディスポンジを渡して、無防備な後ろ姿を晒す。


「……先輩、そこは背中というよりお尻ですよ?」


 先輩は夢中で私の背中を、お尻を洗う。そのうち、あそこに指まで入れたり、後ろから胸を掴んだりもして。


「我慢出来ないんですか?」

「……うん」

「本当に、しょうがないですねぇ♪」


 私は、こんなこともあろうかとシャンプーの棚に仕込んでおいたゴムを手渡すと、壁に両手を突いて、小さなお尻を思いっきり突き出した。

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