第23話 とあるレストランにて
とあるビル最上階にある高級レストラン。
2人のドレス姿の女性が窓際のテーブルで会話をしている。
長い黒髪のとても美しい女性は、上品に紅茶を飲みながら女性に話しかける。
「これが、貴方の望んだ結果なの?」
話しかけられた女性は、窓から隣のビルを見下ろしながら赤ワインを飲んでいる。
こちらは黒髪の女性とは似つかわしく無い程に荒々しい感じのする茶髪の女性だ。
その女性は答える。
「まだまだこの程度では満足出来ないわ」
2人の会話は続く。美しい女性は続ける。
「貴方に力を貸した私が言うのも何だけど、関係の無い人達を巻き込み過ぎでは無いかしら?それ程憎いの?」
「あぁ、アイツに関わった奴ら皆全て滅茶苦茶にしてやりたい」
荒々しい感じの女性は、更にその性格の荒さを露にする。
「そう言う生憎入り交じった感情、嫌いじゃないわ。しかし些かやり過ぎている。私の立場上見過ごす訳には行かない状態よ。
あの武器はね、前に説明したと思うけど切られた物の存在が消滅する。
そして、その切られた物にそれまでかけられた費用が纏めて金銭となり帰ってくる物なの。
ただ、切られた物が他は及ぼした影響はそのまま残るわ。
それと、武器の所有者を除いて他の人からは切られた物の記憶は全て消える」
「あぁ……わかってる。所であの2人、生き返ったみたいだけど何か変だな」
「……簡単に説明すると、私の力は本来の歴史を捻じ曲げている異端な物なの。
一度死んだ後に生き返ると本来の歴史の記憶を持って蘇る。つまり本来の歴史の記憶にリセットされて生き返るの。
なので、あの2人は私の力で歪められてない世界の記憶しか持って無い状態で蘇った……のだけど、蘇った直後にまたあの武器に触れてしまったから、また本来の歴史からはズレて行く事になる」
「ふぅん……つまり今迄の事は覚えて無いって事……?」
「そう言う事になるわね。
でも貴方はこんなに大勢の人を巻き込んで、何も思わないの?」
「別に。あの2人に関しては私に関係無いもの。
えっと……名前言い辛いわね。
びきさんと呼ばせて貰うわ」
「その元の名前も本名ではないのだけれど……びき、か。まぁいいわ。可愛いわね」
びきと呼ばれた美しい女性は微笑んでいる。
「改めてびきさん。
貴女もそれ程の容姿をしながらそういう男女の話と無縁の生活を送っていた訳じゃ無いでしょう?
私は女としての尊厳が奪われたのよ?どんな手を使ってでもその相手と、その人を少しでも庇う人ごと不幸になって貰いたいわ」
「生憎私はそんな世界では生きていないの。
私に同意を求められても無意味よ。
そんな事より私は自分の決断を間違えた様に感じるの。私の力を貴方に貸したのは間違いだったのでは、と」
「そんな事無いわ。貴女には感謝してる。
見てよ、アイツの肩を持ったなぎまで消えてくれた。最高に心地良いわ」
どこからどう見ても悪人そのものの笑みを浮かべている。
「……普通じゃないわね。お酒に酔っているだけなのかしら。他の人の意見も聞いてみたい所ね」
その時、店の入り口辺りから騒ぎ声が聞こえる。
「お客様!こちらではその様なお召し物では入場をお断りさせていただいているんです」
店員が女の人を抑えようとしている。
「大丈夫、すぐ帰るから」
店員を強引につき離し、その女の人は真っ直ぐこちらへ向かってくる。
「やっと見つけた……葵」
2人のテーブル前に立った女が荒々しい感じのする女に話しかけた。
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